
ニューヨーク:アメリカは水曜日、イスラエルとハマスの紛争における「人道支援のための一時的停戦」を求める安保理決議案に拒否権を行使した。その理由としてイスラエルの自衛権を再確認する文言が含まれていないことを挙げた。
「世界のどの国もそうであるように、イスラエルにも独自の自衛権がある」と、アメリカの国連常任代表であるリンダ・トマス=グリーンフィールド氏は述べた。
「アルカイダやISILなどの組織による過去のテロ攻撃を受けて、この理事会はその権利を再確認した。この案もそうすべきだった」
決議案に反対票を投じたのはアメリカのみであった。アラブ首長国連邦を含む7カ国が賛成票を投じ、ロシアを含む7カ国が棄権した。
アラブニュースが確認したところでは、決議案は今月の安保理の持ち回り議長国を務めるブラジルが起草した。ガザへの自由な人道的支援を可能にするための戦闘の一時停止を要求するだけでなく、「ハマスによる凶悪なテロ攻撃」と民間人の人質の拘束を「明確に」非難し、人質の即時解放を求め、紛争に関わるすべての当事者に対し、民間人の保護に関する国際法上の義務を「完全に遵守」するよう促した。
また、イスラエルの名指しは避けつつ、10月13日に出されたガザ北部からの住民避難命令の「即時撤回」を求め、「電気、水、燃料、食料、医薬品など、住民の生存に不可欠なものを奪う結果となる措置」の停止を要求した。
ロシアは、ガザにおける持続的停戦の要求と、イスラエルによるガザ攻撃など、すべての民間人への攻撃の非難を含む、決議案の初期草案に対する2つの修正案を提出していた。アラブニュースが見たところでは、両修正案とも採択に十分な賛成票を理事たちから得ることはできなかった。
アメリカの拒否権行使への反応を問われたフランスのNicolas de Riviere国連大使は、アラブニュースに対し、提案された決議案に「この悲劇の後にイスラエルを支持することに矛盾はない。初日に、我々はあのテロ攻撃の後もイスラエルを支持し続けると伝えた」と述べた。
さらに「ハマスはテロ組織であり、我々はイスラエルの自衛権を全面的に認めている。その一方で、民間人を保護し、人道的支援を許可し、国際人道法とジュネーブ条約の遵守を求めることは、全く矛盾していない」と同大使は付け加えた。
水曜日の採決後、ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連常任代表は、決議を否決した国々は「中東における流血の停止に反対した。それ以外の説明はないだろう」そして「あなた方の国の人々、この地域の人々、そしてこの恐ろしい死の脅威の下で生きている人々に対して、その責任を負わなければならない」と述べた。
アラブ首長国連邦は理事会において、数百人が死亡したとみられる火曜日のアル・アハリ病院攻撃について「完全な独立調査」を行い、実行犯の責任を問うよう求めた。
アラブ首長国連邦の国連常任代表であるLana Nusseibeh氏は、同国は「完全な人道的停戦以上のものを求めている。イスラエルの安全保障を犠牲にするのではなく、人々が負傷者を手当し、尊厳をもって死者を埋葬し、生活を取り戻すことができるようにするためだ」と述べた。
さらに「この停戦は、重要な人道的支援を投入し、支援関係者が安全に活動できるようにするためにも重要だ」と同代表は付け加えた。
Nusseibeh氏は、「ハマスには、当地域のアラブ諸国の首都の街を現在巻き込んでいるこの最新の火種を引き起こした責任がある。我々は、10月7日の凶悪な攻撃について、公然と彼らを非難してきた」と繰り返した。
「しかし正確にいうと、この状況は既に存在しており、何十年にもわたる暴力的な非人間化、収奪、絶望によって助長されてきたのだ。支配されることを望まず、我々全員によって何度も何度も失望させられてきた人々の、今日世界で最も長く続いている占領というこの危機の背景を、どんなことであろうとも見失ってはならない」。
「3年前、我が国はイスラエルと外交関係を樹立した。アブラハム合意は、平和と対話は暴力と敵対よりも優れているという、シンプルだが不変の真実に根ざしている。イスラエルとアメリカというパートナーとともに、我々は共存と協力がすべての人々に繁栄と安全、平和をもたらす新しい中東を模索してきた」と同氏は付け加えた。
「イスラエルの安全保障のためにガザの人々を襲った無差別な攻撃は、その希望を消滅させる恐れがある。この地域は、すでにこの危機の波及と闘っており、平和の敵はその狙いを悪びれることなく語っている。彼らの策略に乗らないようにしよう」