
ベイルート:ヒズボラ幹部は21日、ガザ地区で地上攻撃を開始すれば、イスラエルは高い代償を払うことになると誓い、レバノンを拠点とする過激派グループはすでに「戦いの中心 」にいると語った。
ヒズボラの副指導者、シェイク・ナイム・カセム氏のコメントが発表されたのは、イスラエルがレバノン南部で砲撃やドローンによる空爆を実施し、ヒズボラがイスラエルに向けてロケット弾やミサイルを発射する中でのことである。ヒズボラは、21日に6人の戦闘員が死亡したと発表した。これは戦闘開始以来2週間で最大の日次死亡者数である。
ヒズボラにとって、レバノン・イスラエル国境の緊張を高めることには明確な目的があり、「われわれはイスラエルを弱体化させ、準備ができていることを知らせようとしているのだ」とカセム氏は語った。ハマス当局者は、イスラエルがガザで地上攻撃を開始すれば、ヒズボラも戦闘に参加するだろうと述べた。
イスラエル南部で市民および兵士1,400人以上を殺害したパレスチナ過激派組織ハマスによる攻撃から2週間、レバノン・イスラエル国境沿いでの銃撃戦が激化している。イスラエルによるガザへの報復空爆により、4000人以上のパレスチナ人が死亡した。
イランが支援するヒズボラは、数万発のロケットやミサイル、さまざまな種類のドローン兵器を保有しており、イスラエル北部への大規模な攻撃によってイスラエル・ハマス戦争の新たな戦線を開こうとしているのではないかと懸念されている。
カセム氏によれば、ハマスと同盟関係にある彼のグループは、すでにレバノン・イスラエル国境で緊張を高めることでイスラエル軍3個師団を北部に足止めし、ガザにおける戦闘準備を妨げるという形で、この紛争の趨勢に影響を与えていると述べた。
「パレスチナの抵抗勢力を潰そうとすれば、この地域の他の抵抗勢力が行動を起こさないわけがない」21日のヒズボラ戦闘員の葬儀におけるスピーチで、カセム氏はこのように語った。「今、われわれは戦いの中心にいる。われわれは、この戦いを通じて成果を上げている」
20日、イスラエル軍は、前日の銃撃戦で3人の住民が負傷した国境の町に退避勧告を出した。
レバノン国営通信によれば、イスラエル軍のドローンが、イスラエル国境から北に約20キロ離れたセジュード地区の谷間にミサイルを発射した。ヒズボラはこの攻撃をすぐには確認していないが、もし事実なら、これは大規模なエスカレーションを意味する。レバノンのかなりの奥地で、国境から遠く離れているからだ。
レバノン南部にいるAP通信記者は、地中海沿岸に近い国境沿いで21日に大きな爆発音がしたと報じている。
ヒズボラは、自身の戦闘員がイスラエルの拠点数箇所を攻撃し、イスラエルの歩兵部隊に対しても「直撃」を与えたと主張している。
レバノン国営通信は、イスラエルによる複数の村への砲撃を報じ、ホウラ村では車が直撃を受けたと報じた。21日夕方、レバノンのヤルーン村に対峙するイスラエル軍の拠点周辺で砲撃が激化した。
ヒズボラは、21日に6人の戦闘員が死亡し、10月7日以来、レバノンの武装勢力における死者総数が19人に上ったと発表した。
イスラエル軍のアヴィチャイ・アドレー報道官によれば、武装集団がイスラエルに向けて砲弾を発射し、イスラエル軍のドローンがそれに反撃したという。アドレー報道官によれば、別の武装集団がイスラエルの町マルガリオットに向けて発砲した後にも、ドローンが出動したという。
「両方の攻撃で直撃があった」とアドレー報道官はX(旧Twitter)に投稿している。
ヒズボラのカセム氏は、過去2週間にレバノンを訪問した外国の要人がレバノンの政府関係者に対し、直近のハマスとイスラエルによる戦いに参加しないようヒズボラを説得することを求めたことについて語った。レバノン政府関係者に対するヒズボラの返答は、「われわれは戦闘の一部だ」というものだったという。
カセム氏は、「われわれは接触してきた人々に対し、『(イスラエルの)侵略を止めろ。そうすれば(紛争の)波及や拡大の可能性はなくなる』と伝えている」と述べた。これは、最近ベイルートを訪問したフランス外相やドイツ外相をら政府高官を指した発言である。
カセム氏は、予想されるイスラエルのガザ侵攻について、「われわれの情報では、ガザにおけるハマスとレジスタンス戦闘員の準備は整っている。イスラエルが地上侵攻すれば、そこが彼らの墓場になるだろう」と語った。
AP