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ガザに燃料搬入、通信回線復旧など目的で 2日間の援助途絶の末

イスラエル軍による攻撃の後、生存者を探すパレスチナ人ら。2023年11月17日(金)、ガザ地区のラファ。(AP)
イスラエル軍による攻撃の後、生存者を探すパレスチナ人ら。2023年11月17日(金)、ガザ地区のラファ。(AP)
イスラエル当局者らが17日に明らかにしたところによると、同国の戦時内閣は、燃料不足によって病院が閉鎖され援助活動が停止している中、戦禍のガザ地区に1日トラック2台分のディーゼル燃料を搬入することを許可した。(AP/ファイル)
イスラエル当局者らが17日に明らかにしたところによると、同国の戦時内閣は、燃料不足によって病院が閉鎖され援助活動が停止している中、戦禍のガザ地区に1日トラック2台分のディーゼル燃料を搬入することを許可した。(AP/ファイル)
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18 Nov 2023 09:11:03 GMT9
18 Nov 2023 09:11:03 GMT9
  • 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、ガザ地区南部では70%の人々が清潔な水にアクセスできず、下水が路上に溢れ始めているという
  • イスラエルは国際社会からの高まる圧力に晒されている

パレスチナ自治区ガザ地区:17日遅く、エジプトからガザ地区に燃料の第一陣が搬入された。通信途絶により2日間にわたって援助物資の輸送が停止している状態を解消するために限定的な燃料搬入を許可するようにとの米国からの要請に、イスラエルが同意したことを受けたものだ。

国連諸機関は、イスラエルが過去6週間にわたり地上と上空から攻撃しているガザ地区に閉じ込められた240万人のパレスチナ人が、ますます絶望的な状況に陥っていると訴えている。

燃料搬入と同じ頃、イスラエル軍部隊は同地区最大の病院の中で、地下壕に隠されていると同国が主張するハマスの作戦本部をくまなく捜索していた。

10月7日にガザ地区の境界を突破して攻撃を行ったハマスに対し、イスラエルは「粉砕」を宣言した。同国当局によると、ハマスは約1200人(その大半は民間人)を殺害し、約240人を人質に取った。

2007年以来ガザ地区を支配しているハマスによると、イスラエル軍の空爆と地上作戦によって1万2000人が死亡し、そのうち5000人は子供である。

イスラエルのツァヒ・ハネグビ国家安全保障顧問によると、同国の戦時内閣は米国からの要請を受け、「電力不足によって崩壊の危機に直面している(…)廃水処理施設を稼働させるために、1日にトラック2台分の燃料を供給する」ことに満場一致で合意した。

同顧問は次のように述べた。「我々は伝染病の拡大を防ぐためにこの決断を下した。民間人や我が国の兵士に害を及ぼす伝染病は必要ない」

ある米政府高官によると、同国はイスラエルに対し、エジプトからのラファ国境検問所経由での燃料搬入を許可するよう数週間にわたって大きな圧力をかけてきたという。アントニー・ブリンケン国務長官は、人道的大惨事を回避するためにイスラエルは直ちに行動する必要があると明言した。

イスラエルは、ガザ地区に搬入される燃料がハマスによって軍事目的に転用されないという保証を繰り返し求めている。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、ガザ地区南部では70%の人々が清潔な水にアクセスできず、下水が路上に溢れ始めているという。

前出の米政府高官によると、今回の取り決めでは48時間ごとに14万リットル(3万7000ガロン)の燃料の搬入が許可され、そのうち2万リットルは通信網を復旧させるための発電機に充てられるという。

あるパレスチナ境界管理当局者によると、17日遅くに通信会社パルテル向けの燃料約1万7000リットル(約4500ガロン)がエジプトからラファ国境検問所経由でガザ地区に搬入された。

これ以前には、UNRWAによると、通信がほぼ完全に遮断されたため援助トラックがエジプトからガザ地区に入ることができない状況が2日続いていた。

国連のマーティン・グリフィス事務次長(人道問題担当)は国連総会の会合で、燃料は「ガザ全域に援助物資を継続的に配布するために、また重要なサービスを機能させるために不可欠だ」と述べた。

さらに、援助物資を配布するために現在UNRWAに提供されている燃料は 「歓迎すべきものではあるが、最低限の人道的責任を果たすために必要な量のほんの一部だ」と指摘した。

イスラエル軍部隊がガザ地区のアル・シファ病院で捜索作戦を続けていた17日、ハマスが支配する同地区の保健省は、発電機の燃料不足により48時間で24人の患者が死亡したと発表した。

アル・シファ病院の中には負傷した患者や未熟児を含む数千人がいるとみられている。ハマスは、同病院の地下に同組織の司令部があるというイスラエルの主張を切り捨てている。同病院もその主張を否定している。

ガザ保健省のアシュラフ・アル・クドラ報道官は、「この48時間で(…)24人の患者が死亡した。停電により重要な医療機器が機能しなくなったためだ」と述べた。

イスラエルはアル・シファ病院での作戦を擁護している。同国軍は、同病院内でライフル、弾薬、爆発物、トンネルの入り口を発見したと発表した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、同病院に人質が拘束されていた可能性もあると主張した。

同首相は「CBSイブニングニュース」で、「彼らがシファ病院に拘束されていたという強い証拠があった」と語った。

「もしそうなら、彼らは連れ出されたことになる」

イスラエル軍は、アル・シファ病院を 「1棟ずつ」捜索していると述べた。

また、拉致されていた女性兵士ノア・マルチアーノ氏(19)の遺体を「アル・シファ病院に隣接する建物から」回収したと発表した。

同軍は16日、兵士らが同病院の近くで別の人質の遺体を発見したと発表した。イエフディト・ワイスさん(65)はベエリのキブツ(コミュニティー)から拉致されていた。

イスラエルは、ハマスが病院を司令部として使用しているという主張を裏付けなければならないという圧力にますます晒されている。

しかし、米国は同盟国であるイスラエルを支持している。ジョー・バイデン大統領は今週、ガザ地区の病院周辺での軍事行動において「非常に注意深く」なるようイスラエルに要請したと述べた。

ハマスによると、ガザ地区の病院の半数以上が戦闘、損傷、物資・燃料不足により機能しなくなっている。イスラエルに襲撃されたアル・シファ病院は、放射線科、火傷診療科、透析診療科に甚大な被害を受けたという。

AFPTVが公開した映像には、ラファ国境検問所経由でエジプトに出てUAEに避難するために、デイル・アル・バラにある救急車の中で待機するパレスチナの子供たちが映っている。

ジャバリア難民キャンプへの攻撃で負傷して右手を切断されたケンザちゃん(4)の父親、アダム・アル・マドフーンさんは、「彼女は頭蓋骨と骨盤と大腿骨を骨折しています」と語る。

国連は、パレスチナ民間人の状況は急速に悪化していると警告した。

世界食糧計画(WFP)のシンディ・マケイン事務局長は、ガザ地区では150万人以上が域内避難民となっているとしたうえで、イスラエルが同地区を封鎖していることで「民間人が飢餓の差し迫った可能性に直面している」と訴えた。

イスラエルの地上作戦は今のところガザ地区北部に集中しており、主要な建物と港の奪取が発表されている。同国軍兵士51人が死亡したという。

ガザ地区での戦争と並行して、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区での暴力についての懸念も高まっている。イスラエル人入植者によるパレスチナ人襲撃が急増しているのだ。

「テロ攻撃の大幅な増加」への対応という名目でのイスラエル軍による急襲も増加しており、パレスチナ人の死者数は急増している。

イスラエル軍は17日、ヨルダン川西岸地区での2回の別々の戦闘で少なくとも7人の過激派を殺害したと発表した。

米国のアントニー・ブリンケン国務長官はイスラエルに対し、「過激な入植者による暴力の高まりへの対処を含め、ヨルダン川西岸地区の緊張を緩和する」ための「緊急の」行動を取るよう求めた。

AFP

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