• ガザ保健省によると、イスラエルの攻撃によりガザ地区では少なくとも2万5,295人のパレスチナ人が死亡し、6万人以上が負傷している
• 国連当局者は、戦闘とイスラエルの規制が人道援助提供の妨げとなっており、ガザ地区の住民の4人に1人が飢えていると話す

エルサレム：戦後にパレスチナ国家を樹立する交渉をイスラエルに対して求める国際的要請が高まり、欧州の外相らがこれに賛同するなか、月曜日、ハマスに拘束されている人質の家族数十人がイスラエル議会の委員会に乱入し、愛する人の解放を勝ち取るための合意を要求した。

この展開は、双方の面で強硬な姿勢を貫くイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対する圧力が高まっていることを示している。同首相はイスラエル国民に対し、ガザ地区での壊滅的な攻撃を続けることが人質を帰還させる唯一の方法だと主張してきた。同時に、パレスチナ国家の樹立は決して許さないと述べ、戦後の事態解決に向けた米国のビジョンを否定した。

ガザ地区の将来をめぐる論争で、イスラエルは最大の同盟国や国際社会の多くと対立している。また、このような事態は、イスラエル軍の砲撃により大部分が居住不能となったこの沿岸地域の戦後統治や再建計画にも大きな障害となっている。

このほか、南部の都市ハーン・ユーニスとその周辺でイスラエル軍の攻撃と砲撃が激化し、パレスチナ人の家族が家財を積んだピックアップトラックやロバの荷車に乗って南部から逃げている。

数週間にわたり戦闘地帯となっている同市内では、病院職員らが子どもを含む新たな死傷者数十人の対応に苦戦するなか、人々はアル・ナセル病院の庭に死者のための墓を掘った。医療関係者らによると、市の西端にある避難民を保護する少なくとも4つの学校が攻撃され、その中にはイスラエルが避難民に対して安全地帯と宣言した、海岸沿いの2つの学校も含まれている。

月曜日、ガザ地区のインターネットと電話ネットワークが再び不通となり、これで戦争中10度目となった。国連当局者らは、度重なる停電により、同地区の人口230万人の生存に不可欠な援助物資の配給が大幅に妨げられていると述べた。サービスの喪失によって、パレスチナ人同士や外の世界とのコミュニケーションも妨げられている。

ネタニヤフ首相は、戦争の引き金となったイスラエル南部での10月7日の襲撃後、ハマスに対する「完全勝利」まで攻撃を継続し、今でも残っている人質全員を帰還させることを誓った。ハマスの攻撃では約1,200人が死亡し、ハマスや他の武装勢力によって約250人が拉致された。

どちらかでも実現可能かという問題について、イスラエル国民の意見はますます分かれている。

11月には1週間の停戦協定のもと、イスラエルに拘置されていたパレスチナ人の釈放と引き換えに、人質約100人が解放された。約130人が依然として拘束されているが、その後数人の死亡が確認されている。

ハマスは、戦争の終結と数千人のパレスチナ人捕虜の釈放と引き換えにのみ、さらなる人質の解放を行うと話している。

ネタニヤフ首相はそのような合意を一蹴しているが、人質の家族の間では怒りが高まっている。人質の親族や他の抗議者らは、エルサレムにあるネタニヤフ首相の邸宅の外にテントキャンプを設営し、合意に達するまでそこに留まると誓っている。

月曜日には、人質の家族数十人がクネセトの財政委員会の会合に乱入し、プラカードを掲げて「人質たちがガザ地区で死にゆくなか、あなた方はここに座るわけにはいかない！」と怒鳴った。

「それは我々の子どもたちだ！」と彼らは叫んだ。身体を押さえつけられる人もおり、少なくとも1人は外に連行された。

ガザ地区で25,000人以上が死亡

ガザ保健省によると、イスラエルの攻撃によりガザ地区では少なくとも2万5,295人のパレスチナ人が死亡し、6万人以上が負傷している。同省は民間人と戦闘員を区別していないが、死亡者の約3分の2は女性と子どもだったとしている。

ハーン・ユーニスの住民は、市の四方八方で砲撃があったと報告した。ナセル病院では、外科部長のアイマン・アブ・アバイド氏が月曜日早朝、アルジャジーラテレビに対し、少なくとも50人の死者と100人以上の負傷者が施設に運び込まれたと語った。

ガザ保健省のアシュラフ・アル・クドラ報道官は、イスラエル軍がアル・ハイル病院を襲撃し、医療スタッフを拘束したと述べた。この病院は、今回の紛争中にイスラエル軍が占拠した一番新しいケースだ。病院は、イスラエル軍が作戦を実施しないと表明していた、ハーン・ユーニス西側にある農村沿岸地帯ムワシの安全地帯のすぐ内側にある。

赤新月社のボランティアらによると、ハーン・ユーニス西側にある4つの学校（そのうち2校はムワシの安全地帯内）が攻撃され、人数はわからないが死傷者が出たという。そして、赤新月社の救急車が現場に到着できないと語った。

人々は海岸の高速道路沿いにハーン・ユーニスから逃げ出し、ある者は歩き、ある者は毛布や家財を車に積み込んでいた。彼らはガザ地区最南端にあるとても狭いラファに向かったが、そこにはすでに100万人を優に超える人たちが密集しており、その多くは通りを埋め尽くしたテントの中で暮らしている。

アフマド・シュラブさんは、家族とともにハーン・ユーニスから逃げるなか、何度も家を追われたと語った。「どこに行けばいいんだ？ラファなのか？いや、ラファは通り一本のような場所だ。イスラエルは私たちに何を求めているのか？」と 彼は叫んだ。

ガザ地区の住民の約85パーセントが、今回の戦争で故郷を追われている。国連当局者は、戦闘とイスラエルの規制が人道援助提供の妨げとなっており、ガザ地区の住民の4人に1人が飢えていると話す。国連によると、ガザ地区全体で営業しているパン屋はわずか15軒で、そのすべてがラファか中部の街ディール・バラフのいずれかにあるという。

イスラエル軍は、証拠を示すことなく攻撃で約9,000人の戦闘員を殺害したと発表するとともに、民間人の死者が多いのは住宅密集地で活動しているハマスのせいだと主張している。

この戦争はまた、レバノン、シリア、イラク、イエメンで活動するイランの支援を受けた組織が、イスラエルと米国の目標を攻撃するなど、地域全体の緊張を高めている。

高まる圧力にさらされるネタニヤフ首相

10月7日以降支持率が急落しているネタニヤフ首相は、より精密な軍事作戦に移行し、ガザ地区への人道支援を促進するためにさらに努力するよう、米国からの圧力に直面している。

米国はまた、戦後のガザ地区を統治するためのパレスチナ自治政府の再編、さらには二国家解決に向けた交渉の開始を呼びかけている。自治政府は現在、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区の一部を統治しており、ハマスが政権を握った2007年にガザ地区から追放されている。

ネタニヤフ首相は、パレスチナ自治政府の介入とパレスチナ国家樹立の両方を拒否した。同首相の連立政権は、攻勢の強化、数十万人というパレスチナ人のガザ地区からの移住の奨励、ガザ地区でのユダヤ人入植地の再建を望む極右政党に借りがある。

ブリュッセルで開かれた会合で、欧州連合の外相らはパレスチナ国家樹立の呼びかけを声高に主張し、それが和平を実現する唯一の方法であると述べた。

フランスのステファヌ・セジョルネ外相は、ネタニヤフ首相のパレスチナ国家の樹立拒否について、「憂慮すべきことで、すべての人に安全を保障するパレスチナ国家が必要となるだろう」と話した。

「他にどのような解決策を考えているのだろうか？パレスチナ人全員を追い出すことか？彼らを全滅させることか？」と、EU外交政策責任者のジョセップ・ボレル氏はイスラエルについて語った。

サウジアラビアの外務大臣ファイサル・ビン・ファルハーン王子は日曜日遅くのCNNとのインタビューで、パレスチナ国家樹立への信頼できる道筋がなければ、サウジはイスラエルとの関係を正常化したり、ガザ地区の復興に貢献したりするつもりはないと述べた。戦前、米国はサウジアラビアとイスラエルの間の画期的な国交正常化協定の仲介を試みており、同王子のこのコメントは注目に値した。

パレスチナ人は、1967年の中東戦争でイスラエルが占領したガザ地区とヨルダン川西岸地区、さらにはイスラエルに併合された東エルサレムを含む国家の樹立を模索している。和平交渉は15年近く前に決裂した。

AP