
アブダビ:世界貿易機関(WTO)ハイレベル会合が26日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催された。地政学的緊張と意見の相違に関する突破口に向けた明確な見通しがない中、世界の貿易担当大臣が一堂に会した。
第13回WTO閣僚会議(MC13)は、UAEの首都アブダビで29日まで開催される予定。同会議は2年ぶりの開催となる。
WTOは、特に漁業、農業、電子商取引に関する進展を期待している。
しかし、WTOのルールには加盟国164カ国すべての完全なコンセンサスが必要であるため、現在の世界情勢下において大きな取引が成立する可能性は低い。
「本質的な合意が発表されるとは考えていない」とジュネーブ大学の経済学教授、マルセロ・オラレアガ氏は述べている。
「私の印象では、交渉担当者たちは戦術的な立ち位置で対処しているように見える。相手側が交渉を停滞させているという印象を与えようとしている」と彼はAFPに語った。
WTOのンゴジ・オコンジョ・イウェアラ事務局長でさえ、ウクライナ戦争、紅海での攻撃、インフレ、食品価格の上昇、欧州と中国の経済難といった「経済的・政治的逆風」のため、会議は困難なものになると予想していると述べた。
彼女は今月ジャーナリストに対し、彼女のチームは交渉のための合意案を作成するために昼夜を問わず働いているが、特に農業に関しては「交渉のポジションはまだかなり厳しい」と語った。
前回のWTO閣僚会議は2022年6月、ジュネーブ本部で開催された。各国の貿易担当相は海洋生物に有害な漁業補助金を禁止する歴史的な取り決めに合意、また新型コロナワクチンの一時的な特許放棄に合意した。
彼らはまた、WTOの紛争解決機関(DSB)への新任判事の任命を米国が拒否し続けた結果、2019年に機能不全に陥いった同機関の再開を約束した。
EUの貿易担当委員、ヴァルディス・ドンブロフスキス氏は今月、「2022年のMC12の成功、奇跡を再現することは非常に困難になるだろう」と述べた。
「漁業、農業、電子商取引モラトリアムなどの大きな項目に関する交渉は、会議の最終段階まで継続することになるだろう」と彼は付け加えた。
「紛争解決制度改革に関する交渉や、合意事項の一部項目についても同様に難航する可能性がある」
しかし、WTOはドナルド・トランプ氏の再選の可能性を前に、同会議において改革の進展を迫られている。
2017年から2021年までの4年間、トランプ大統領は米国をWTOから撤退させると脅し、WTOの紛争解決能力を崩壊させた。
「11月には米国の選挙がある……これが最後のチャンスだ」と、スイスの外交筋がAFPに匿名を条件に語った。
「MC13以降に何かを延期するのは良い戦略とは言えない」
今月初め、キャサリン・タイ米通商代表は、「WTOを改革し、より耐久性のある多国間貿易システムを構築するという米国のコミットメント」を強調した。
しかし、ジュネーブ大学のオラレアガ氏は、「WTOの他の加盟国は、選挙の年であるジョー・バイデン米大統領政権から大きな譲歩を得ることは期待することはできない」と述べた。
農業などの主要な問題において、WTOでの進展に疑問がある一方で、特に発展途上国への援助に関しては小さな前進が期待されている。
26日には、コモロと東ティモールの2カ国が新たにWTO加盟国として承認される予定だ。
120カ国以上の国と地域、中国やEUは26日朝、発展への国際投資を促進することを目的とした合意の最終化を示す閣僚宣言を発表した。米国はこれに参加していない。
彼らはまた、この協定をWTOに正式に統合することを要求する提出文書も発表したが、一部の外交官は、全加盟国を含まない協定を拒否するインドなどの反対を警戒している。
しかし、全会一致のコンセンサスを得ることが困難な状況の中、参加国のみに適用される複数国間協定――署名国数を絞った協定――はますます増えている。
本会議に参加する国々にとっての課題をさらに増やしているのは、現在進行中のガザ紛争と、それに関連するイエメンの反政府勢力による紅海での一連の船舶攻撃であり、これは世界の海上貿易を混乱させている。
「現在の状況は地政学的緊張によって特徴づけられている」と、欧州のある外交官は匿名を条件にAFPに語った。
「金融危機と新型コロナウイルス感染症によるパンデミック後の発展途上国からの大きな期待、インフレによる経済的緊張が世界経済の分断のリスクに拍車をかけている」と同外交官は語った。
AFP