
【バグダッド】19日早朝、在バグダッド米国大使館の近くでロケット弾一発の攻撃があった。AFPが治安当局筋の話として伝えた。厳重な警戒態勢を敷いた一帯への着弾は数週間ぶりとなる。
同筋が確認したところでは、爆音は首都一帯に鳴り響き、大使館の敷地内には警報が轟いたが、死傷者は出なかったもよう。
今のところ、今回の攻撃に関係する声明は出ていない。
イラク国内の保安部隊にはイランの支援を得た勢力がいると米国が難じたことから、昨年10月以降、イラク国内の米権益へ同様の攻撃が数十回にわたり続く。今回もその一環とみられる。
これまでの一連のロケット弾攻撃により米国、英国、イラクの軍関係者が命を落としており、米イラクの関係はきわめて緊迫している。
1月には米国がイランのガーセム・ソレイマニ司令官とイラクのアブー・マフディー・アル=ムハンディス指揮官をバグダッドでドローン攻撃により殺害、緊張は頂点にまで登り詰めた。
しかし、今月上旬にムスタファー・アル=カージミー氏が新首相に就任、以後は米国イラクとも関係を振り出しに戻す期待感を示していた。6月には二国間協議も予定されている。
交渉では米軍駐留の枠組み作りが期待される。米軍は2014年にイラクへ派遣され、「イスラム国」一派撃退の共同作戦を主導する立場だ。
が、米軍の駐留はイランおよびイラク国内のイラン派にとっては目の上のたんこぶであり、イラク国内からの撤退を主張している。
イランの最高指導者ハメネイ師は17日、「米国はイラクにせよシリアにせよこれ以上留まるまい。立ち去らねばならぬ。必ずや追放されるはずだ」と語っている。
今年に入って米国主導の有志連合軍はすでにイラク国内で7,500人の兵力削減を実施している。イスラム国の脅威が薄れたことと、新型コロナの感染拡大のためイラク軍への訓練に支障が多いことを理由に上げている。
AFP