
ロンドン:米国による制裁、原油販売の崩壊、深刻な新型コロナウイルスの流行の影響で疲弊しているイランは、供給不足を回避するため食料と薬の購入に奔走している。
これらの物資は制裁の対象外であるにもかかわらず、銀行や各国政府は無自覚に米国の複雑な規制に違反することを恐れて、イランの資金を送金したり接触したりすることに消極的になっていると、ある情報筋は語った。
米国政府の支援を受けてスイス政府が開設した、公認の貿易チャネルである「スイス人道貿易協定(SHTA)」は、スイス企業からの物資をイランが購入することを促進させるために1年以上の働きを経て、2月に始動した。
それでもイラン中央銀行(CBI)は、2016年から2018年の間に積み立てた数十億ドル相当の原油輸出資金を、SHTAと連携している銀行口座に送金することができていない、と情報筋は語っている。
それらの資金はイランが世界の大国との核合意に署名してから、トランプ政権が2018年にイランへの制裁を解除し再開するまでの数年間に、イランが日本や韓国を含むアジアなど、原油を販売した国々の銀行口座に蓄積されていた。
イランの事業体とのドル取引だけでなくCBIも対象に制裁が再開された際、これらの資金は凍結された。その結果、イランが許可を求めるような国際的な銀行や各国政府は、送金を行う際に米国政府から具体的な承認を得ずに資金が放出されることを警戒している、と情報筋は語った。
情報筋によると、米国による制裁に免除措置があるとしても、その複雑さによって銀行、企業、各国政府はイランとの取引に慎重になっていることをこの妨害が物語っているという。なぜならこれらへの違反は多額の罰金を伴い、重要な米国の金融システムから事実上締め出されてしまう可能性があるからだ。
この影響は他の地域にも及んでおり、ロイターは以前、多くの外資系海運会社や保険会社が承認済みの商取引であっても、船舶の提供や航海に対する保険をかけることに消極的になっていることを報じていた。
韓国と日本の当局は、米国の具体的な承認を得ていないCBIのスイスへの現金送金を拒否していると、問題の機密性を考慮して名前の公表を辞退した情報筋は語った。
韓国の外務省はこれを認めている。
ロイター