
エフレム・コサイフィ
ニューヨーク:わずか数週間後には、アメリカ人は、世界最悪のコロナウイルスの発生によるストレスの下で、市民の不安、人種間の緊張、政治的な二極化、崩壊した経済を背景に投票を行う。
11月3日の大統領選挙に向けて、アラブニュース/YouGovの調査では、アラブ世界が考える米国が直面する最大の脅威は何かを尋ねた。激動を考えると、これらの課題のうちどれが最も適切なのかを決めるのは難しいかもしれない。
しかし、回答者の32%は、白人至上主義を1位に挙げた。中国が2位となり、アラブ人回答者の22%が世界第2位の経済大国を、今日の米国が直面している最大の脅威の1つに挙げている。
3位はイランで、9%がアメリカの最大の脅威としてテヘランを挙げ、次いでサイバー犯罪、過激なイスラム過激主義、気候変動、そして最後に連邦政府の押し付けがましい態度をアメリカの主な悩みの種として挙げている。
「調査結果は、アメリカ人自身がこれらの脅威をどのように見ているかを反映しています」と、ワシントンDCに拠点を置く中東におけるアメリカの外交政策を研究するシンクタンク、アラブ・センターのカリル・ジャシャン事務局長は述べている。
「アラブの人々は米国の様々な問題に精通していることを示しています。」
アラブ人の回答者は アメリカの政治的現状を正確に把握しているようだ。
つい最近、武装した白人民兵の13人のメンバーが、民主党のミシガン州知事グレッチェン・ホイットマー氏の誘拐と州政府の転覆を企てた容疑で起訴された。
またこれに続きそ、「オルト・ライト」思想の明らかな広がり、「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切)」のデモ参加者と白人至上主義者との間の衝突、そしてドナルド・トランプ氏がライバルであるジョー・バイデン氏との最初の大統領テレビ討論会の間に極右のプラウド・ボーイズを糾弾しなかったことなど、数か月にわたって懸念がさらに高まっている。
「人種差別主義者、極端な右翼グループの脅威は、アメリカ国内で行われているテロという点では最大の脅威です 」とジャシャン氏は言う。「それは、9.11以降、しばらくの間、イスラム過激派から来ると思われていた脅威に取って代わりました。」
アメリカの大統領はイランに照準を合わせているが、アラブの人々が中国をアメリカの大敵とみなしているのは驚くに当たらない。大統領就任以来、トランプ氏の反中レトリックは単なる貿易戦争から、北京が米国経済を弱体化させるために意図的に「中国ウイルス」(COVID-19)を放ったことをほのめかすものへと変化している。
「それが北京では良く受け取られませんでした。そして当然、その関係は混乱に陥っています」とジャシャン氏は語った。
自分の足元の中東地域におけるイランの悪質な影響力を懸念しているにもかかわらず、アラブニュース/YouGov汎アラブ世論調査の回答者のうち、テヘランが中国よりもワシントンにとって脅威であると感じている人はわずか9%にすぎなかった。
「その低い数字は、(イランの脅威の問題についての)アラブとアメリカの世論にギャップがあることを反映しています。典型的なアラブ人は、イランに関しては米国は自分の味方だとは思っていません」とジャシャン氏は言う。「これが一般的な感情であり、特に湾岸諸国では、イランを主な敵とみなし、米国を主な同盟国とみなす傾向があります。」
地政学を超えて、アラブの回答者は気候変動に関するムードをよく読んでいるようで、トランプ氏が環境保護に関する最近の進展の多くを後退させたとの見方を反映している。「アラブ人女性の5%とアラブ人男性の9%がこの問題を米国にとっての重要な脅威と見ているという事実は正しい 」とジャシャン氏は言う。「数字がもっと高ければいいのですが。」
過去40年以上にわたっていくつかのアラブ政府を扱ってきた中東の長年のオブザーバーであるジャシャン氏は、初めてアラブの世論が考慮されているのを見て喜んでいると言う。
「これらの調査を見るのは励みになるし、勉強になります。それによってアラブの世論が、ここアメリカであれ、アラブ諸国であれ、外交政策の要因になることを期待しています」と彼は語った。
Twitter: @EphremKossaify