
アラブニュース
アンカラ:トルコのある上級大臣が、2016年に未遂に終わった同国のクーデターを陰で操っていたとして、アメリカ政府を非難した後、トルコはアメリカとの舌戦を再燃させた。
トルコのスュレイマン・ソイル内務大臣は、未遂に終わった政府転覆の試みを画策し、トルコ国内の隠れた地下ネットワークを通じて、このクーデターを指示していたとして告訴されていた説教者、フェトフッラー・ギュレン氏を匿ったとして、アメリカを非難した。
アメリカ政府は、トルコが学生たちの国内での抗議行動に対して、「行き過ぎた取締り」を始めたと主張する声明を出して、さらに煽り立てた。
同大臣のこのクーデター計画に対する非難は、ロシアのS-400ミサイルシステムの売却をめぐる昨年の制裁の後、トルコがアメリカとの緊張した関係の修復に期待を寄せているときだ。
トルコ政府はギリシャ、フランス、イスラエルをはじめとして、地域のライバル国との外交チャンネルをいくつか開設し、バイデン政権への友好の意思表示として、中東での挑発的な動きをやめていた。
ワシントンを拠点とするアメリカ進歩センターのトルコ問題のアナリスト、マックス・ホフマン氏は、ソイル内務大臣のアメリカへの非難は、トルコ国内で現在進行中の権力闘争と関係がありそうだと語った。
ソイル内務大臣が自ら積極的に、エルドアン大統領を徐々に弱らせようとしているのかどうか、ある時点で疑う必要があります。公式な方針は、明らかにリセットを試みることです。経済は最悪です。そして、ソイル氏はどうやら宗教保守派の継承者です」と、同氏は語った。
アメリカ合衆国国務省は、この非難を「事実無根で、信頼できない情報」だと非難した。「アメリカは、トルコでの2016年の未遂クーデターに一切関与しておらず、直ちにこれを糾弾します。
それとは反対に、トルコの上級閣僚による最近の非難は、全くの嘘です」と、国務省は述べた。トルコはギョレン氏を引き渡すように要求したが、アメリカ政府が拒絶したことは、以前トルコの怒りを招いていた。
専門家たちは、以前の政権による無干渉的なアプローチとは反対に、バイデン政権が人権や民主化の実績をめぐって、トルコに以前より厳しくなるだろうと語っていた。
バイデンのチームがNATOの同盟国の1つであると考えて、トルコの民主化実績対して、どのような強硬路線を推進するのか、ということはまだ判らない。
「トルコ・EUの関係とは異なり、トルコ政府のアメリカ政府との関係には、避難民への経済的支援や、取引の最大の呼び物となる関税同盟のような具体的な関係を構成する要素がありません」と、研究者で元EUトルコ大使のマルク・ピエリーニ氏はアラブニュースに語った。
トルコ政府がアメリカ政府と対話をしているときに、法の支配の問題を置き去りにしようとすることはできません」と、同氏は語った。
トルコは外務省の荒々しい言葉で表現された声明で、デモでの「アメリカの指」を挙げ、国内中で現在も続いている学生の抗議行動では、「外国の干渉」が一翼を担っているとして非難してきた。
「私たちは特定の外国の団体に、違法なやり方に訴え、違法行為を促すグループを挑発する言語を用いないように警告しました」と、この声明は述べていた。
トルコでの警察のデモ参加者への攻撃は、アメリカ政府を驚かせた。約600人が拘留され、デモは大都市の広がり、政府はデモ参加者を「テロリスト」と見なしている。
2月5日、3,317人の世界中の研究者のグループが、トルコを批判し、ボアズィチ大学のメリブル・ブル学長の辞任を要求する声明を出した。同学長はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に、体制支持者として指名されていた。
アメリカの活動家、ノーム・チョムスキー氏は学生の抗議活動を「勇気があり、称賛に値する」と見なしていた。