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トルコ選挙前夜、地震被災地では怒りと絶望の声

レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の21年にわたる支配を終わらせるかもしれない5月14日の大統領選挙・議会選挙を前に、路上で瓦礫をトラックに積むショベルカー。2003年5月13日、アンタキヤ。(AFP)
レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の21年にわたる支配を終わらせるかもしれない5月14日の大統領選挙・議会選挙を前に、路上で瓦礫をトラックに積むショベルカー。2003年5月13日、アンタキヤ。(AFP)
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14 May 2023 10:05:19 GMT9
14 May 2023 10:05:19 GMT9
  • メティン・イェネルさんと彼の妻はケマル・クルチダルオール氏に投票するつもりだ。同氏は長年大統領の座にあるレジェップ・タイイップ・エルドアン氏の世俗的対立候補である。エルドアン大統領の政府は政治生命を賭けて闘っている

アンタキヤ:14日の重要な選挙を前に、トルコの大地震で壊滅的な被害を受けた都市アンタキヤのバスターミナルで人々に話を聞いたところ、地震のショックは未だ生々しく、有権者の意見は分かれた。

イェネルさん一家の建物は、2月に発生したマグニチュード7.8の地震で一部倒壊した。5万人以上の死者を出したこの地震の後、救助·復興活動における政府の対応の遅れに対する怒りが噴出した。

この古代文明揺籃の地にある自宅からの避難を余儀なくされた多くの人々の例に漏れず、イェネルさん一家はトルコ現代史上最大の選挙に参加するために戻ってきた。

メティン·イェネルさんと彼の妻ズベイデさんはケマル·クルチダルオール氏に投票するつもりだ。同氏は長年大統領の座にあるレジェップ·タイイップ·エルドアン氏の世俗的対立候補である。エルドアン大統領の政府は政治生命を賭けて闘っている。

「この選挙は重要です。私たちは希望を持っています」。5時間のバスの旅を終えた家族がバスターミナルで待つ中、メティンさんはそう言って微笑む。

時間のない旅行者に売るためのボトルウォーター、スナック菓子、電池などが山積みとなった小さな店の中で、店主のミトハトさん(55)は、大統領選挙と議会選挙で自分の意思を表明するのが待ちきれないと言う。

面倒に巻き込まれたくないという理由で名字を伏せることを希望した彼はこう話す。「地震の時、国は私たちを見捨てました。最初の3日間は誰も助けに来ませんでした」

ミトハトさんは誰に投票するかも明かさなかった。秘密にしておきたいという。

「でも、良心に従って投票します」

セルダル·アニルさん(21)はクルチダルオール氏への支持を臆することなく表明した。世俗的な共和人民党(CHP)の党首である同氏は、20年以上におよんでいるエルドアン大統領の支配に終止符を打つことを目指す野党6党の連合を率いている。

3ヶ月前から両親と共にテントで暮らしているアニルさんは、地震以来、そしてエルドアン大統領の非正統的な政策によって悪化したと専門家が指摘する経済危機以来、生活が厳しくなったこをを嘆いている。

状況はより厳しくなっているし、間に合わせの寝泊まり場所に蛇が入ってこようとすることもあるけれど、アニルさんは指導者が変わることで大規模な復興活動が妨げられるとは心配していない。

「どちら(の候補者)も上手くやれます。彼らこそが国家です」と彼は言う。

ここからほど近くに、CHPが主要道路に沿って大きなテントを4つ立てて地方指導部を設営している。同党の本部も地震の被害を免れなかったのだ。

アンタキヤはハタイ県の県都だ。CHPの同県代表であるハカン·ティリャキ氏は、エルドアン大統領が迅速な復興を約束しているのをよそに、「政権交代は(住民にとって)唯一の希望の光だ」と述べた。

震災への国の対応の遅れに国民の怒りが広がっていることから、今年の選挙ではハタイ県の100万人の有権者の多くが投票先を変えるだろうとティリャキ氏は見ている。

2018年の大統領選挙でも、エルドアン大統領の同県における得票率は48.5%で全国平均を4ポイント下回っていた。

以前はエルドアン大統領の公正発展党(AKP)を支持していた人々も、今や同党のことを愛する人々を「殺した者たち」として見ていると、ティリャキ氏は言う。

同氏は語る。「有権者は投票に来るためにできる限りのことをしている。病気なのに治療を中断して来ている人もいる。彼らはこの選挙に全てを託しているのだ」

しかし、先ほどのアンタキヤのバスターミナルでは必ずしもそうではないようだ。バス運転手のメフメト·クユムクさんは、政府の震災対応に対する怒りから選挙でエルドアン大統領とAKPを罰したいとは思わないという。彼は選挙に行かず仕事をするつもりだ。

彼はAFPに対しこう語る。「投票はしません。今までもしたことがありません」

「家族を5人失いました。そのことと政党に何の関係があるでしょうか。私が投票したところで彼らが生き返るわけではありません」

カンセル·ドグルエルさんは、2018年と同じくエルドアン大統領に投票しようと考えているという。

テントで幼い子供を抱きながら話してくれた彼女は、選挙戦は大まかにしか追っていないと認めた。

彼女は語る。「候補者がどんなことを言っているのかは知りません。テレビも電話もなくなったので」

「テントを何週間も待ちましたし、それをくれたのも国ではありませんでした」

不安定な生活が長引いていることから、2003年からトルコ政治を支配しているエルドアン大統領への支持を考え直そうともしているという。

「こんな状況なので、もう分からなくなりました。迷っています」

AFP

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