
ナジャ・フーサリ
ベイルート:1年以上にわたる危機に瀕しているレバノンだが、母国を訪問する国外居住者はそれにもかかわらず多数に上ると、ミドルイースト航空の役員がアラブニュースに語った。
ベイルートのラフィク・ハリーリ国際空港の統計によると、7月1日にレバノンに到着した乗客は15,000人を超え、そのうち13,606人は海外に移住したレバノン人だった。週末までに、帰国者は過去最高の20,000人を数えた。
ドイツから子どもたちを連れて夏休みに帰国したニスリンさんは語った。「人々は疲れている様子で、誰も笑わないし、みんな不安で緊張しています。会ったとたんに不満を口にします。電気もガソリンも無い、生活費が高すぎるという具合です」
レバノン人女性ロリスさんの娘さんが結婚することになったが、結婚式のためにスウェーデンとカナダから帰ってきた親戚が驚いていたと言う。ベイルートが闇に包まれている中、ブルマナ、ジュニーエ、ビブロス、バトルーンなどのカフェやレストランは超満員だったというのだ。ベイルートは昨年大爆発事故の被害を受けている。
レバノン・ホテル経営者協会の会長、ピエール・アシュカー氏によれば、「政治と治安の問題にもかかわらず、首相に指名されたサアド・ハリーリ氏が辞任した後も、国外居住者の方々は出国しようとしていないようです。今まで何とか解決するのに成功してきたからでしょう」
アシュカー氏の推定では、6月中にレバノンに入国したイラク人は30,000人にのぼる。氏は言う。「彼らは自国の治安状況から逃げて来ました。レバノンよりはるかに状況が悪いからです」
「レバノン人の海外居住者は、道路が封鎖されていたら別の知っている道を行けるし、首都が緊張状態にあれば、ラス・バールベクかどこか遠い村のゲストハウスに行けます」
アシュカー氏はこうも言う。「昨年のベイルート港の爆発事故で、(多くの)高級ホテルが廃業に追い込まれました。(この状況は)首都の経済への打撃の大きさを反映しています」
「レバノンの物価は、国外居住者や旅行者にとっては、レバノン在住者にとってよりもはるかに低く感じるはずです。レバノンの人々の収入はレバノンポンド建だからです。しかし、米ドルの為替レートの高騰は、観光業界の人々にとって大問題です」。闇市場での米ドルのレートは1ドルあたり22,000レバノンポンドを超えている。
ほとんどのレバノン在住者にとって、レストランでの食事は法外な金額に思える。しかし、レストランは前々から予約しないと入れないし、ホテルの結婚式場は夏の間予約がいっぱいだ。
カナダに住むレバノン人女性のメイさんは、夏の間レバノンに帰郷しているが、物価が安いとは思っていない。彼女の語ったところでは、「ドルレートの高騰にはついていけません」
「両親の年金の価値がゼロになっているのに、お金を使えるわけがありません。娘は抗生物質が無いので歯医者に行けませんでした。カナダからは持って来ていなかったんです」