
ワシントン/カイロ:米国は17日、核協議が行き詰っていることへの批判を逸らそうとするイランの「悪意ある」行動を非難し、囚人交換に関しては、いかなる合意にも達していないと否定した。
イランのアッバース・アラグチ首席核交渉官はこれまでにツイッターで、ウィーンでの次回の交渉は8月にイランの新政権が発足するまで待たなければならないと述べたが、囚人交換は、アメリカとイギリスが核問題と結びつけるのを止めれば、すぐにでも可能だと主張した。
2015年の核合意を復活させるための米国とイランの間接協議は、前回の交渉が6月20日に終了して以降、保留となっている。アラグチ氏の発言は、イブラヒム・ライシ次期大統領が就任するまで、イラン政府が交渉のテーブルには戻らないことを確認するものとなった。
「我々は今、首都で民主的な政権交代が行われている過渡期にある。ウィーン協議は当然、新政権発足を待たなければならない」と、同氏はツイートした。
米国国務省のネッド・プライス報道官は次のように述べた:「これらのコメントは、現在の行き詰まりの批判を逸らそうとする悪意ある行動だ」。
「イランが必要な判断をし次第、我々には、JCPOAへの相互復帰に関する作業を完了させるため、ウィーンに戻る用意がある」と、プライス氏は述べ、両国を包括的共同行動計画に復帰させるための外交努力について言及した。
この計画は、ドナルド・トランプ前大統領が破棄し、後任のジョー・バイデン大統領が復活させようとしている核合意のことだ。
アラグチ氏はまた、アメリカおよびイギリスに対し、囚人交換を核合意と結びつけるのをやめるよう求めた。「アメリカとイギリスが取引の一部を履行すれば、双方の囚人10人が明日にも解放されるかもしれない」と、同氏は述べた。
これに対し、プライス氏は次のように述べた:「イランがその意思に反して不当に拘束しているアメリカ人に関しての発言については、これもまた彼らの家族の期待感を高めるための残酷な行動に過ぎないと、我々は考えている」。
「我々は、ウィーンでの交渉過程の中で被拘留者に関する間接協議を行ってきたが、このプロセス再開の遅れは前進に資するものではない」と、プライス氏は付け加えた。「ウィーンで会合を行えば、事を進展させる上ではより効果的ではあるものの、我々にはこの期間中も被拘留者に関する協議を続ける用意はある」。
イラン系アメリカ人数人を拘束しているイランは、二重国籍者を逮捕して他の国々から譲歩を引き出そうとしていると、人権活動家らから非難されている。イランはこの訴えを認めていない。
イランは今週これまでに、米国の制裁違反をめぐり、米国やその他の国々の刑務所に収容されているイラン人捕虜を確実に解放するため、協議を行っていると述べた。
5月には、米国の制裁に基づき他の国々で凍結されたイランの石油資金70億ドルの凍結を解除する代わりに、両国が囚人交換協定に合意したとするイラン国営テレビの報道を米国政府が否定している。
核協議の中断は、米国やヨーロッパの政府高官らは強硬派のライシ氏が当選したことによるものだと考えているが、これにより、協議が行き詰った場合の次のステップが疑問視されている。
ロイター