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イランが消極的であるため、イラン核協議は「生命維持装置」にかかっている状態にある

イランの核開発計画を抑制するための協議が崩壊の危機に瀕していると、協議に関わる政府の関係者が匿名で『インディペンデント』紙に語った。(Shutterstock)
イランの核開発計画を抑制するための協議が崩壊の危機に瀕していると、協議に関わる政府の関係者が匿名で『インディペンデント』紙に語った。(Shutterstock)
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23 Oct 2021 05:10:28 GMT9
23 Oct 2021 05:10:28 GMT9
  • 最高指導者の盟友であるイブラヒム・ライシ氏がイランの大統領に就任して以来、イランの核開発を抑制するための協議は停滞している。
  • 専門家によると、イランは「内部の麻痺」のために協議に戻ることを躊躇しているという。

クリストファー・スチュワート

ロンドン:イランの核開発計画を抑制するための協議が崩壊の危機に瀕していると、協議に関わる政府の関係者が匿名で『インディペンデント』紙に語った。

今年初めにウィーンで開催されていた核合意再建に向けた協議は、イランが宗教的・政治的な強硬派路線を取るハメネイ最高指導者の側近であるイブラヒム・ライシ氏がイランの大統領に就任したことにより停止している。

ライシ氏の大統領就任以来、イランは本格的に協議に復帰することなく、濃縮ウランの生産など、核兵器の保有に近づくための施策を強化してきた。 

2015年にイランと米国、中国、ロシアなどの世界の大国が合意した包括的共同行動計画(JCPOA)は、イランに対する制裁緩和と引き換えに、イランの核開発を抑制するものであった。しかし、その後合意は決裂した。

現在、JCPOAへの復帰に向けた協議が破綻の危機に瀕していると『インディペンデント』紙が報じた。

本協議に参加しているある政府関係者は、「イラン核合意は完全に死んだわけではないが、生命維持装置にかかっている状態だ」と語った。この政府関係者は、匿名を条件に語った。

米国は、イラン側が協議の場に戻るのに消極的であると非難している。米国務省のネッド・プライス報道官は記者団に対し、「これは無期限に続けられるものではない」と述べた。

イスラエルのアビグドール・リーバーマン財務大臣は今週、「イランとの対立は時間の問題であり、時間はもうあまり多く残っていない」と警告した。

ライシ大統領の交渉チームは、新政府に落ち着くまでに時間が必要であり、それが協議への参加が遅れている理由だと主張しているが、協議に関わった関係者はこう語っている。「もし、イランが核開発活動を拡大しながら、時間稼ぎをしているのであれば、我々はアプローチを再検討しなければならないだろう。」 

イランは、協議に復帰した際の自国の影響力を高めるために、より多くウラン濃縮を行い、その生産能力を高めているのではないかと考えられている。

ロンドンに拠点を置くシンクタンク「王立国際問題研究所」のイランプログラム副ディレクターを務めるサナム・ヴァキル氏は『インディペンデント』紙にこのように語った。「イランは現在、今後の戦略を立て、内部のコンセンサスを得ることに苦労している。イランの協議参加への消極的な態度は、協議で優位性を保つためとも言われているが、イラン内部の麻痺を反映したのもでもある。」

ヴァキル氏はこう続けた。「イランの考えは、これまですべてを生き抜いてきたのだから、これから何が起ころうとも生き抜くことができるというものだ。しかし、これは危険な計算だ。イランは常に戦略的にきわどい分かれ目にいるのだ。イランの戦略の結果は、長期的に見て国内的に危険なものとなる可能性がある。彼らは暴力を独占しているのだ。確かに、経済は応急措置をされた状態ではあるものの、貧困層は増えている。さらに負債も増えている。」

関係者は『インディペンデント』紙にこのように語った。「イランが本当に時間をかけたいのであれば、なぜ核合意違反行為をエスカレートさせ続けるのか?なぜ、核合意違反を辞めないのか?協議参加国らが核合意の協議から離脱すると、残される選択肢は良くないものだ。皆が単純に諦めると思うのは、誤算だろう。」

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