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サウジの現代アーティストの「ディオール レディ バッグ」がサウジに脚光をあてる

バッグ「Landscapes of the Mind」は、2009年に彼女が制作した昔のアートワークのコレクションからインスピレーションを得たもので、アル・ドワイアン氏は過去数年間のサウジ女性の経験について様々な側面から疑問を投げかけている。(提供)
バッグ「Landscapes of the Mind」は、2009年に彼女が制作した昔のアートワークのコレクションからインスピレーションを得たもので、アル・ドワイアン氏は過去数年間のサウジ女性の経験について様々な側面から疑問を投げかけている。(提供)
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02 Feb 2022 04:02:59 GMT9
02 Feb 2022 04:02:59 GMT9
  • マナル・アル・ドワイアン氏は、同ブランドに彼女のルーツを取り込んだ初のアラブ人女性デザイナーのうちの一人だ
  • この文化圏の人間として、私たちは自分たちが何者であるか、何をどのように装い、どのように見て、どのように話すかということに、非常に異なる独自のやり方で再び繋がりつつある

ナダ・ハメード

ジェッダ:サウジアラビアの現代アーティスト、マナル・アル・ドワイアン氏は、サウジアラビアやGCC、アラブで初の女性デザイナーの一人として、ファッション史に名を残すフランスの有名ブランド、ディオールのハンドバッグコレクションに参加し、自分たちの伝統に焦点を当て表現した。

「ディオールが私にバッグを作らせてくれたのは、素晴らしいことでした。アーティストとしては、バッグを引き受け、それに変更や追加を行うのが普通です。しかし、私が彼らに、まったく違うものを加えようと思うと言ったところ、彼らは賛成してくれました。そして、私たちはそれを一緒に作ってきました。バッグあるいは彫刻とされるものです」とアル・ドワイアン氏は話す。

「アル・ドワイアン レディ ディオール」コレクションは、レザーステッチ、3Dプリント、カーフレザー、刺繍されたブラックフェザー、モノクロ写真などを用いた素材と技術で作られている。アル・ドワイアン氏はディオールのデザインチームと共に、サウジアラビアの伝統や個人的な記憶の中のノスタルジックな側面を強調した3つの作品、「The Boys(少年たち)」「Landscape of the Mind(心の風景)」、ミニミノディエールバッグ「Desert Rose(砂漠のバラ)」を制作した。

アラブニュースの独占インタビューで、アル・ドワイアン氏は、最初のバッグ「The Boys」は、2016年に作ったアートワーク・コレクションからインスピレーションを得たと語った。

「父が1962年にサウジアラビア、より具体的にはカシムで撮影したコダックのフィルムスライドを再利用して制作しました」と彼女は話す。


アラブ人女性として初めて、世界的に有名な仏ブランド「ディオール」にアートとデザインを提供したマナール・アル・ドワイアン氏。(提供)

「私は、このバッグのアイデンティティについて、そしてこのバッグを通して何を伝えようとするのか考えていました。それは基本的に、私たちがサウジアラビアで経験している大きな変革の瞬間でした。この文化圏の人間として、私たちは自分たちが何者であるか、何をどのように装い、どのように見て、どのように話すかということに、外を見たり真似たりするのではなく、自分たちが何者であるかをより中心に置いた、非常に異なる独自のやり方で再び繋がりつつあると思います」と彼女は述べた。

2つ目のバッグ「Landscapes of the Mind」は、2009年に彼女が制作した昔のアートワークのコレクションからインスピレーションを得たもので、アル・ドワイアン氏は過去数年間のサウジ女性の経験について様々な側面から疑問を投げかけている。

「『Landscapes of the Mind』を制作したとき、私はこの風景は私に属しているのか?または、私は風景に属しているのか?というコンセプトに注目していました。ですから、これは本当に所属について、そして、私はこの風景に招かれているのかどうか、つまり、公共空間にいる女性についての疑問でした。私たちはプライベートな空間に存在しなければなりません。このバッグで、私はこの考えを全く違うやり方で紹介していると思います。公共の場における女性の爆発的な増加、彼女たちの参加への招待、そして仲間の男性たちとともに築き協力することは、私たちの歴史における素晴らしい瞬間であると思います。そして、私はそれを設計図に記録しておきたかったのです」

アル・ドワイアン氏は、2020年にパンデミックがピークに達したときの心境を表現した。彼女はアラビア語で「私はその瞬間に生き、その瞬間に死ぬ」という意味のメッセージを書き、それをバッグのデザインに応用した。「背景にあるアイデアは、2020年のパンデミック期の私たちの状況についてのメッセージでした。家も、国も、地球も、明日どうなるかわからない中で、私は、その瞬間のために生き、死ぬことを奨励します」と話す。

「Desert Rose」について、アル・ドワイアン氏は次のようにコメントした。「最近の作品として、過去4年間私の芸術活動を通して探求してきた形であり、その儚い存在にとても興味があります」このバッグは、アル・ドワイアン氏の母の家の外の砂漠を含む、世界でも数少ない砂漠にのみ存在するバラのような結晶を表現している。サウジアラビアが東部地域で同じ砂漠を共有しているカタールやUAEにも存在している。

「この結晶体は永遠に存在するわけではなく、いつかは溶けてしまうので、寿命は10年しかありません。それを踏まえ、ここ数年、特にアル・ウラーで制作したトランポリンにおいて、私は無力と消失というアイデアに非常に注目しています」

アル・ドワイアン氏は、2020年にリヤドで開催された「ディオール レディバッグ」第6弾をテーマとした「レディ ディオール アートプログラム」に他12人の国際的アーティストと共に参加し、バッグを通してアートやデザインを表現した。象徴的なクラシックなミディアムサイズのレザーバッグは、長年にわたり、さまざまなカラー、エディション、コレクションで再考案・再構築されてきた。このアートプログラムは、各アーティストが制作するすべての作品に、心を動かすストーリーを加える機会を与える、異文化間のコラボレーションだった。

このアートプロジェクトに伴い、ディオールは「レディ ディオール アート」バッグに合わせたポッドキャストを立ち上げており、才能ある新進アーティストたちが、ハンドバッグに施されたアートワークやデザインの裏話を披露している。アル・ドワイアン氏のアートのバッグの限定版は、2021年12月末に発売され、ディオールは次のツイートを投稿した。@Dior「アラビア文字でその魅力を作り直したマナル・アル・ドワイアン氏は、自身のサウジアラビアの伝統と砂漠のバラの結晶からインスピレーションを得て、#DiorLadyArt 6 のために #LadyDior を再考案しました」

アル・ドワイアン氏は、湾岸諸国の女性が見た目やエキゾチックなファッションを通し、いかにエレガントな外見を好むかについて語った。「サウジアラビアの女性や湾岸諸国の女性は、一般的に、地球上で最もスタイリッシュな女性たちです。彼女らは、これらの世界的ブランドを、製品を購入し、最も興味深い方法で着用することで、支援してきた人たちです。ヨーロッパから来たものを、私たちの国という舞台で非常に美しく見えるようにカスタマイズしています」と彼女は言った。

サウジアラビアの新しい才能について、アル・ドワイアン氏は次のように語る。「常に刺激を受けており、とてもエキサイティングです。アートを見るのも楽しいし、国中のクリエイターと興味深い話をするのも大好きです。彼らは、私がアーティストになったばかりの頃はほとんど人のいなかった複数の媒体で自己表現しています。昔は、私と他の一握りの現代アーティストだけでした」

「モダンアートではなく、現代アートの話です。現代アートをやっている人は本当に少ないですが、今はシーンが充実しており、アーティストにとって素晴らしい時代です」と彼女は話した。

アル・ドワイアン氏は、自分の作品には、人間として、女性としての現在の生活や経験が表現されているため、アートの中で好んで追う特定のスタイルというのはないという。「私はこの地域に住みながら、世界中を旅しているアーティストです。だから、私のアートには、人間としての個人的な旅が常に反映されます」

ディオールは今、シンプルに「私はあなたたちを見ている」と言うことで、アラブ地域の女性たちとの新しい対話を始めた、と彼女は話す。「私はファッション界に詳しくはありませんが、この旅をとても楽しみました」

アル・ドワイアン氏は、3月3日からジェッダで開催される「2139展」に参加する。

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