
エルサレム:イスラエルは27日、全ての外国人の同国への入国を禁止すると発表し、同国は、感染力が強い可能性のある新たな新型コロナウイルスの変異株の対応で国境を完全に閉鎖した最初の国となった。また同国は、オミクロン株の感染拡大を封じ込めるため、テロ対策用の携帯電話追跡技術を使用すると発表した。
ナフタリ・ベネット首相は声明で、政府の承認待ちとなっているこの禁止令は14日間続くと述べた。政府関係者らは、南アフリカで初めて検出され、世界保健機関から「懸念すべき変異株」に指定されたオミクロン株に対して、新型コロナワクチンがどの程度有効なのか、この期間内にさらに多くの情報が得られることを期待している。
「我々の作業仮説では、この変異株は既にほぼ全ての国に存在している」と、アイェレト・シャケド内務大臣が、N12の「ミート・ザ・プレス」で語り、「ワクチンは有効だが、どの程度有効かはまだわからない」と述べた。
ワクチン接種済みの人を含むイスラエル人の入国には、隔離が求められると、ベネット首相は述べた。この禁止令は、28日と29日の間の午前0時に発効する。26日には、ほとんどのアフリカ諸国から到着する外国人に対して渡航禁止令が課された。
新たな変異株の他人への伝播を抑制するため、この変異株保有者の位置の特定に、イスラエル総保安庁のテロ対策機関の携帯電話追跡技術が使われると、ベネット首相は述べた。
2020年3月以降断続的に使用されているこの監視技術は、ウイルス保有者の位置を近くの他の携帯電話と照合し、誰と接触したかを特定する。イスラエルの最高裁判所は今年、市民権団体がプライバシーの懸念をめぐって異議を申し立てたことを受けて、使用範囲を制限した。
ベルギー、ボツワナ、香港、イタリア、ドイツ、英国でも検出されたこの変異株は、世界的な不安を引き起こし、渡航制限が相次いで課されているが、疫学者らは、このような制限は、オミクロン株が世界的に広まるのを阻止するには手遅れの可能性があると述べている。
イスラエルでは、これまでのところ、オミクロン株への感染が1件確認されており、7人の感染が疑われている。保健省は、確認された感染者がワクチンを接種していたかどうかについては言及していない。感染が疑われる7人のうち3人は、ワクチン接種を完了しており、また、3人には最近海外への渡航履歴はなかったと、同省は27日に発表した。
保健省によると、イスラエルの人口940万人のうち約57%はワクチン接種を完了しているという。これはファイザー・ビオンテック製のワクチンの3回目の接種を受けたか、2回目の接種を受けてから5ヶ月が経過していないことを意味する。イスラエルでは、パンデミックが始まって以降、130万人の新型コロナウイルス感染が確認され、8000人以上が死亡している。
ロイター