
イラン司法当局はイランとスウェーデンの二重国籍者ジャラリ氏の死刑が執行されると表明
ブリュッセル/テヘラン:国連の原子力監視機関の責任者は10日、イランが国内の古い未申告施設で見つかったウラン粒子に関する情報提供を引き延ばしており、6月にこの問題で衝突する可能性が持ち上がっていると述べた。
イランと世界の大国の間で締結された2015年核合意を復活させるための協議は、米国の外国テロ組織リストからイランのエリート治安部隊であるイスラム革命防衛隊を外すことをイランが求めていることが主な原因で、3月以来中断している。
厳密には核合意の一部ではないが、イランと欧米諸国の間に緊張と不信を引き起こしている問題の1つは、イランが、明らかに古いが未申告である3つの施設でウラン粒子が見つかった件に関して、国際原子力機関(IAEA)の調査の終結を要求していることである。
ウラン粒子が見つかった事実は、イランがそれらの施設で同機関に申告していなかった核物質を保有していたことを示唆している。イランと国連原子力機関は3月5日、3カ月間をかけてやりとりすることに合意した。その後にIAEAのラファエル・グロッシー事務局長が、6月6日に始まる「2022年6月の(IAEA)理事会で結論を報告することを目指す」
しかし、欧米諸国の外交官によると、イランが同機関に満足のいく回答をする兆候はほとんど見られないという。
欧州議会の場でグロッシー氏は、状況を非常に懸念しており、イランには、IAEAが知っている必要がある事柄に関して深刻な疑念を抱いている場合、核合意が締結できるとは想像しがたいことを伝えていると述べた。
「袋小路に入ってしまったという性急なメッセージを伝えようとしているわけではないが、状況はあまり好ましくないように見える。イランは当機関が必要する類の情報提供に協力的でない」と、グロッシー氏はウェブストリーミングの形で欧州議会の委員会に対して語った。
イラン核合意に関するEUの調整官であるエンリケ・モラ氏は、ロシア、中国、フランス、イギリス、ドイツも含まれるこの合意を救うための最後の弾であると本人が形容する機会のために、テヘランに向かっている。
事情に通じている関係筋によると、欧米の当局者は、核合意復活の希望をほとんど失っており、ロシアのウクライナ侵攻が大国を分断した状況下でもイランの核開発計画を制限する方法を慎重に検討せざるを得なくなっている。
「もちろん、合理的な期間内になんらかの合意に達するという望みを今でも抱いているが、この千載一遇のチャンスはいつでも消え去る可能性があるという事実を認識する必要がある」とグロッシー氏は述べた。
一方、スウェーデン国籍も持つイラン人のアフマドレザ・ジャラリ氏への死刑判決も議題に上っており、イラン司法当局のザビホラ・コダイアン報道官は10日、死刑執行日を明らかにすることなく、執行されると語った。
先週、イランの半官半民の通信社であるISNA通信は、イランとスウェーデンの両国籍を持つこの研究者が、イスラエルのためにスパイを働いたとして死刑を宣告され、5月21日に刑が執行されると伝えた。
これとは別に、イランは10日、隣国トルコが共有水路の上流にダムを建設しているのは「容認できない」と表明し、トルコに活動の停止を求めた。
「境界水域におけるトルコのダム建設は容認できず、反対する」というイランのホセイン・アミラブドラヒアン外相の発言が、国営通信社IRNAに引用されている。
同外相は国会で、この問題については「過去数カ月間にニューヨークとテヘランでの2回の対面での会談と1回の電話会談の少なくとも3回取り上げ、我が国が承認していないことをトルコ外相に対して表明したと述べた。
同氏は、「特にアラス川のダム建設に注意を払うよう要請した」と付け加えている。
アミラブドラヒアン氏は、「水協力に関する二国間協定は存在しないが、隣国として、4カ月前にトルコ政府に対し、この分野の懸念に対処するための水問題に関する二国間委員会の設置を要請した」と述べた。
気候変動と近隣国でのダム建設が原因の一端であるが、近年イランが何度も干ばつに見舞われている状況下での同氏のこれらの発言となった。
だが、トルコ同様に、イラン自身も隣国イラクとの共有河川にダムを建設し、イラクでの水資源へのアクセスを脅かしてきた責任がある。
しかしながら、トルコによるアラス川のダムはイランの水利用にとって特に脅威になっている。
両国とも、国境を越えた水資源の利用を規制する1997年の国連水路条約の締約国ではない。
ロイター/AFP