ベイルート:レバノンで経済破綻後初の議会選挙投票が日曜日に行われた。多くの人が、危機に対する責任があると彼らが思っている支配的な政治家たちに打撃を与えることを望んでいるが、大きな変化が起こる見込みは小さいと思われる。
2018年以来の今回の選挙は、深刻化する貧困と与党に対する怒りの渦中において、イランに支援された武装組織ヒズボラとその同盟者が議会多数派を維持できるかの試金石と見られている。
レバノンは前回の選挙以来、世界銀行が支配階級に責任を帰した経済破綻と、2020年のベイルート港爆発事故に揺れている。
しかし、改革志向の候補者によるある程度の議席獲得を国民の怒りが後押しする可能性をアナリストは指摘しているものの、レバノンの宗派主義的な政治システムは支配政党に有利な方向に歪められており、権力のバランスに大きな変化が起こる望みは薄い。
「レバノンはより良い国になるに値する」と、ベイルートで父親と共に投票に訪れた57才のナビル・チャヤさんは語る。
「投票は権利ではなく義務だし、投票する意味はあると思う。人々が目覚め始めている。それはわずかで、また遅すぎるかもしれないが、人々は変化が必要だと思っている」
初めて投票するという35才のファディ・ラマダンさんは、無所属候補に投票することで「政治システムに一発お見舞いしたい」と語る。
「政治システムが辛うじて勝ったとしたら、こちらが勝ってもおかしくなかったと考えるだろう」と、ベイルートで投票に訪れたラマダンさんは語る。
シーア派ヒズボラ運動の政治拠点であるレバノン南部で、ラナ・ガリブさんは、レバノンの経済破綻でお金を失ったけれどヒズボラに投票すると語る。
「お金のためではなくイデオロギーのために投票する」と、ヤーテル村で投票する30代女性のガリブさんは語る。2000年にレバノン南部からイスラエル軍を追い出してくれたヒズボラを信用するという。
投票は午後7時(グリニッジ標準時の16時)締切の予定で、非公式の結果は一晩で出る見込みだ。
経済破綻は、通貨価値を90%以上下落させ、人口の約4分の3を貧困に陥れ、人々は恐れをなして銀行から預金を引き出し、1975~1990年の内戦以来の最も不安定な危機となった。
2018年に実施された前回の選挙では、ヒズボラと、ミシェル・アウン大統領のキリスト教政党である自由愛国運動(FPM)党を含む同盟者が、128議席のうち71議席を獲得している。
この結果は、レバノンをシーア派のイランの圏内にさらに深く引き入れ、スンニ派のサウジアラビアの影響に打撃を与えた。
ヒズボラは現在の議席構成からの大きな変化は見込んでいないとしているが、もう一つのキリスト教政党で親サウジアラビアのレバノン軍団党を含む対抗者たちはFPM党から議席を奪うことを望んでいる。
不透明な空気を醸し出す要因は、スンニ派指導者のサード・ハリーリ氏のボイコットにより残された空白を、ヒズボラ陣営と対抗者の両方が埋めようとしていることだ。
投票が近づくにつれ、経済破綻に直撃された家庭に食べ物や燃料券を支給することで候補者が票を買収するだろうと監視人たちは警告した。
21才以上の国民がそれぞれの先祖代々の町や村で投票するが、家から遠い場合もある。
国際通貨基金による危機緩和のための金融支援が解除されるために必要とされる改革は長く延期になっているが、新議会はその改革の採決を実施する見通しだ。
新議会はまた、10月31日に任期を終えるアウン大統領に代わる大統領を選出する予定だ。
どのような結果になろうと、諸派閥が権力を分け合う新内閣内での大臣の地位の調整に数ヶ月かかる可能性があり、レバノンは停滞期となるかもしれないというのがアナリストの見解である。
4つの派閥の関係筋がロイターに伝えるところによると、政財界の大物で3期目を務めているナジーブ・ミカティ首相が新政府の首相に指名される可能性がある。
ミカティ首相は先週、迅速な組閣を確信できれば再び首相となる用意があると発言している。
ロイター