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ラシュディ氏を襲撃した背景が、米国内のホメイニ支持者を浮き彫りにする

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14 Aug 2022 12:08:48 GMT9
14 Aug 2022 12:08:48 GMT9
  • レバノン系米国人のハディ・マタル氏、テヘランが支援するヒズボラとの関係を示唆

レイ・ハナニア — シカゴ

エファレム・ コッセイフィ — ニューヨーク

ウバイ・シャーバンダル — ワシントンD.C.

金曜日、作家のサルマン・ラシュディ氏をナイフで襲撃するという凶悪な殺人未遂容疑で起訴された、ニュージャージー州の24歳の容疑者ハディ・マタール氏は、親イラン政権へのシンパシーと、1989年に故アヤトラ・ホメイニ氏がラシュディ氏に下した死刑執行のファトワが動機であったと考えられている。

ラシュディ氏はニューヨーク州北部の文学フェスティバルで講演していたが、マタール氏はステージに駆け上がり、受賞したラシュディ氏の顔、腕、腹部などを複数回刺したと、警察は主張している。

警察によると、容疑者はニューヨーク州チャウタクワのチャウタクワ協会が主催する文芸会議に出席するためパスを持っていた。

病院関係者は、ラシュディ氏(75歳)がこの攻撃で失明する可能性が高いと述べている。

この著名な作家は、片腕に神経損傷、肝臓に重症を負い、人工呼吸器を装着している。

この襲撃事件を捜査している警察当局は、マタール氏の動機や、親イランの過激派グループとの公式または非公式のつながりの可能性について推測していないが、多くの専門家はこの事件をイランの長年にわたる過激派テロ計画と関連付けている。

ソーシャルメディア上で広く共有されマタール氏のFacebookのカバーページは、同容疑者がテヘラン政権の強硬政策の支持者であることを示している。

そのページには現政権の創設者であるホメイニ氏と現最高指導者であるアリー・ハメネイ氏の写真が掲載されており、マタール氏がイラン政権に洗脳され同調していることに疑う余地はない。

ワシントンを拠点とする反核イラン連合の顧問であるノーマン・ルーレ氏はTwitterに、「親ホメネイ派の個人によるものだと報道されたサルマン・ラシュディ氏への襲撃は、テロ行為と見なされるだろう。イランによる米国人への脅迫を文書化したものは、確かにテロ行為である」と投稿した。

「もしこれがAQ関連の襲撃だったら、我々はどう対応しただろうか。なぜ違いがあるのだろうか」

ワシントンに拠点がある、中東における米国の外交政策を研究するシンクタンクであるアラブセンターのカリル・ジャシャン事務局長は、米国には親イランの活動家の一団が存在するが、通常は監視下にあるとアラブニュースに語った。

ジャシャン氏はマタール氏が、イラン政権の長期にわたるファトワと、ラシュディ氏や他の欧米高官に対する発言に動機づけられた「一匹狼」かもしれないと信じているが、攻撃が今実行されたことには驚いていると述べた。

ジャシャン氏はアラブニュースに対し、「このファトワはイランが長年にわたって発行し、レバノンを含む地域の多くの人々によって支持されてきたが、激しさと感情的な愛着という点において、やや消散し、弱まったと考える人もいるでしょう」と語った。

ラシュディ氏に対するファトワは、ホメイニ氏の死後1998年に緩和され、イランの指導者の後継者たちはもはやラシュディ氏の殺害を求める声を支持しないと述べた。しかし、このファトワが公式に撤回されることはなかった。

ジャシャン氏は、このファトワはイランを支持し続けている一部の人々にとって今でも重要であると述べた。

「このようなことを真剣に考える人たちがいることに、私は決して驚きません。政治的な理由による民間人に対するテロ攻撃への支持は、世界の多くの地域で減少していますが、少なくとも個人レベルでは存在し続けています」と彼は述べた。

「そのため、イラン国内であろうと国外であろうと、特定の組織や体制に縛られていないように見える個人であるという事実は、驚くべきことではありません。それが今の流行であり、よくある傾向なのです。とはいえやはり、捜査が進むのを待って、捜査後にどのようなつながりが出てくるかを見る必要があります」

襲撃の直後、親イラン派と親ヒズボラ派のソーシャルメディアのフィードは、加害者とされる人物を賞賛する内容で盛り上がったが、その多くは後に削除された。

フォロワー数が9万人を超えるTwitterアカウント「IranArabic」は、マタール氏を「導きと慈悲の預言者であり神の使徒であるムハンマドを侮辱した『悪魔の詩』の著者である、悪魔のサルマン・ラシュディ氏を刺したレバノンの英雄」と呼んだ。

レバノン系シーア派とヒズボラへの支持が強いデトロイトの活動家の中には、今回の襲撃には驚いていないと述べた人がいる。そこでは親イランの活動は注目を集めることが多いことを付け加えた上で、身の危険を感じるため公の場で発言することを恐れていると述べた。

あるデトロイトの活動家は匿名を条件に、「ここデトロイトの人々は、イランやヒズボラに対して声を上げることを恐れています」と述べた。

FBIは2020年に、イラン政権の一連の暴力的なテロ攻撃の代表者であるカセム・ソレイマニ氏がドローンで暗殺された後、米国内の親イランの支持者やエージェントによるテロの可能性について警告を発した。

ラシュディ氏への襲撃は、米司法省がジョン・ボルトン元国家安全保障問題担当大統領補佐官の暗殺計画を明らかにした後に起こった。

https://www.detroitnews.com/story/news/nation/2022/08/10/iranian-operative-charged-plot-murder-john-bolton/10286401002/

米当局がイランの準軍事組織である革命防衛隊のメンバーであると特定したシャフラム・プルサフィ氏は現在、雇われ殺人計画に関連する容疑でFBIに指名手配されている。

マタール容疑者は米国で生まれたが、親イランのヒズボラの拠点で多くの若者が、そして子どもでさえも強いられる過激派の洗脳から逃れられなかったのだろう。イランの「革命」の過激派イデオロギーを輸出することは、中東にいるイランの代弁者にとって重要な目標である。

しかし彼らは米国の中心地でも存在感を確立したようである。

アナリストたちはこの夏、ヒューストンの親イラン派のモスクが幼い子どもたちに、「サラーム・ファルマンデ」(ペルシャ語で「こんにちは司令官」)という唱和に参加するよう強制していたことを発見した。ソーシャルメディアに投稿されたそのセレモニーは、ハメネイ氏への完全な忠誠心を植え付けることを目的とした、イラン人やヒズボラの洗脳を忠実に反映している。

テキサス州ヒューストンでイラン過激派が子どもたちを洗脳している画像のリンク: https://www.meforum.org/63416/texas-mosque-enlists-children-into-cult

中東とテロを専門とするアナリストのエイドリアン・カラメル氏は、過激主義を監視するシンクタンクである中東フォーラムが最近発表した報告書において、この歌はイラン政権の勧誘活動の一環であると述べている。

「次世代の殉教者として子どもたちを入隊させているのです」と彼は述べた。「この歌そのものが、『我々は司令官のために死ぬ準備ができている』と言っています」

カラメル氏は、ヒューストンのモスクと同様のシーア派のモスクは、米国におけるイランの影響力の中心であると警告している。

「アルカイダもダーイシュもこれらのセンターを設立できませんが、イランならできます」と彼は述べた。

マタール氏がどのように過激化されたかは不明だが、ラシュディ氏に対する攻撃を正当化し奨励するイランの宗教的過激主義の支持者によって推進されている、政治的・宗教的教化の、より幅広い傾向があることは明らかである。

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