
バグダッド:近年まれに見るイラクの首都での外国人殺害事件で、襲撃者が米国人援助関係者を射殺したと、2人の警察当局者が発表した。
「この男性は、チグリス川東岸のバグダッド中心部カラダ地区で、自分の住む通りに入る際に車の中で撃たれたが、殺害理由は目下判明していない」と述べた。
男性の妻と子供も一緒に車に乗っていたが、けがはなかったという。
当局によると、男性が車で通りを走っていると、車が割り込んできて、別の車に乗った襲撃者が男性を射殺したとのことだ。
襲撃者が男性を誘拐しようとしていたのかどうかは、現時点では明らかではない。
国務省のネッド・プライス報道官は記者団に対し、「国務省は、バグダッドで米国の援助関係者が殺害されたとの報道を承知しており、調査中である」と述べた。
「しかし、死亡報告やその人物が米国籍であることについて確証する立場にはまだない」とした。
AP通信が見た文書によると、この男性は昨年5月からカラダのワフダ地区にアパートを借りていた。
現時点で、この殺害への犯行声明は出されていない。
米国大使館の職員はAP通信の取材に対し、この件に関して現時点で提供できる情報はないとした。
2人の治安当局者は、国際援助団体に勤務する米国人が殺害されたことを確認したが、名前は明かさなかった。
「詳細は不明だが、捜査が進められている」と、規則に基づき、匿名を条件に話した。
被害者が搬送されたシェイク・ザイード病院の医療従事者は、彼は到着時に死亡していたと述べた。
ムハンマド・シア・アル・スダニ首相は、内務省と各警備機関からなる委員会を設置し、「首都での米国人殺害の状況を調査する 」と述べた。
7日の夜、被害者が住んでいたとされるキリスト教徒とイスラム教徒の混在する中流地区の通りは、住民もおらず閑散としていたが、警察によって厳重にパトロールされていた。
イラクの首都でこのような個人に対する襲撃は、2017年に同国のダーイシュ派が敗北して以来、まれになっているが、米国大使館に向けてロケット弾が発射されることもある。
2003年に米国が主導したイラク侵攻後の初期には、こうした襲撃はよくあった。
2004年にはバグダッドで2人のアメリカ人が誘拐され、後に過激派が彼らの斬首を撮影したビデオを公開した。
今回の攻撃は、10月下旬にムハンマド・シア・アル・スダニ首相が率いるイラクの新内閣が議会で信任された後に発生した。
アル・スダニ首相は、主にシーア派政党で構成されるイランの支援を受けた「調整枠組み」によって指名された。
イラクは、2019年10月にバグダッドとイラク南部全域で始まった大規模な反政府デモを受けて、今から1年以上前に早期選挙を実施した。
デモ参加者は、2003年の米軍主導の侵攻後に確立された政治システムの見直しを求めた。
米主導の連合軍は最近、イラクでの戦闘任務を終えたが、ダーイシュとの戦いでイラク軍に助言的な役割を果たし続けている。
AP