メネクセ・トキャイ
アンカラ:13日に発生し死者6人と負傷者81人を出した爆発を受け、イスタンブール警察は夜を徹した捜査を行い、爆弾を置いた有力容疑者としてシリア国籍の女性アフラム・アル・バシル容疑者(23)を逮捕した。
トルコのシュレイマン・ソイル内相は、13日にイスティクラル通りで起きた民間人を標的とした爆発の背後には、非合法のクルディスタン労働者党(PKK)およびシリアにおけるその姉妹組織である民主統一党(PYD)がいると述べた。
PKKはフィラット通信が発表した声明の中でこの攻撃への関与を否定したが、トルコの情報機関関係者は同組織が関与した可能性が高いと主張している。
トルコのイスタンブールで逮捕された身元不明の爆発テロ容疑者。トルコ警察が公開した日付不明の写真。(ロイター)
アル・バシル容疑者は、シリアのクルド人武装組織から訓練を受けた後、現在トルコ軍の支配下にあるシリア北西部のアフリン地方経由でトルコに不法入国したと供述している。
監視カメラの映像には、ヒジャブと迷彩柄の服を着用した同容疑者が遠隔操作式の爆弾が入った袋を置いて現場を立ち去る様子が捉えられていた。
この爆発による犠牲者の中には、3歳の少女と、その父親で家族・労働・社会サービス省の南部アダナ県にある支部に勤務する男性も含まれていた。2人はイスタンブールで休暇を過ごしていた。
米国政府は、「暴力行為を強く非難する」とともに「NATOにおける同盟国であるトルコと協力してテロに対抗する」ことを改めて表明する報道声明を出した。
しかしソイル内相は、「公式に資金を提供している我が同盟国の偽善は明らかだ」と述べて米国がシリアのクルド人武装勢力を支援していることを公然と批判し、哀悼の意を示した米国を犯罪現場に来る殺人犯になぞらえた。
安全保障アナリストはこれまでの攻撃で観察されたパターンに基づいて、今回の攻撃にはPKKが関与していると主張する。
アンカラを拠点とする「テロ・過激派対策研究センター」の所長を務める退役大佐のエロール・ブラル氏はアラブニュースに対し次のように語った。「PKKは今回、来年実施される選挙を前に、世論に対してより幅広いインパクトを与えより多くの注意を引き付けるために、大都市の混雑した場所で民間人を標的としたようだ」
「トルコが続けている対テロ作戦は、同国内および地域でのPKKの軍事的影響力を大幅に弱めただけでなく、その組織能力や大衆からの支持も毀損した。それを取り戻す唯一の方法が、トルコを罰するための爆弾テロだったのだ」
同氏によると、PKKは民間人に対して恐怖を植え付けるために、また自分たちが今後も脅威を与え同様の行為を繰り返すことができることを分からせるために、このパターンを用いているという。
トルコは、クルド人民防衛隊(YPG)およびPYDはPKKとつながっていると見ている。PKKは米国、EU、トルコによってテロ組織に指定されている武装組織だ。
トルコはシリア北部でYPGに対する3つの作戦を実施した。今年も新たな作戦が行われると見られていたが実現しなかった。
PKKは40年近くにわたってトルコに対する武装反乱を行っており、その過程で4万人が犠牲になっている。同組織の構成員のうち数人がスウェーデンに亡命している。
スウェーデンのNATO加盟申請をトルコが認めるという両国の間で新たに結ばれた合意の一環として、スウェーデン新政府のトビアス・ビルストロム外相は先日、シリア北部の大部分を支配するYPGおよびPYDからスウェーデンは「距離を置く」必要があると述べた。
同外相は先日スウェーデン・ラジオに対し、「これらの組織はPKKとあまりに密接に関係している」と語った。
スウェーデンのウルフ・クリスターソン首相は先日アンカラを訪問し、NATO加盟についての詳細を協議した。
ブラル氏は、今回のイスタンブールでのテロには欧州諸国に対し、もしPKKの存在やプロパガンダ活動を制限すれば彼らの国でも同様の攻撃が起こるかもしれないとほのめかす脅迫メッセージを送る意図もあるのではないかと見ている。
「今後、PKKはトルコ国内のネットワークと代理勢力を利用して、あるいは国外から外国人戦闘員を展開して、大都市でテロ行為を行う可能性がある」
「どちらの場合も、トルコは国境警備を強化し、国内の潜在的なテロ集団に対するさらなる予防措置を講じる必要がある」
「トルコでは毎年、様々な組織による約200件のテロ行為が阻止されている。しかし、そのうちの一つが警備のレーダーを逃れ、多くの罪のない命を奪った」
今回の爆発テロではPKKが最有力容疑者と見られているが、専門家はトルコとイランとの間の近年の不和を念頭に、トルコでのこの種のテロ行為においてイランが関与する要因にも注意を喚起する。
イランを後ろ盾とするイラクの武装勢力「カタイブ・サイード・アル・シュハダ」は7月22日、イスタンブールのタクスィム広場で撮影された写真を、「必要とあれば我々はどこへでも行く」というスローガンと共に公開した。
同じアカウントは7月24日に別の動画を投稿した。
この動画の中には「我々はイスタンブールを見ている。アブ・アラア・エル・ヴァリ(この組織の指導者)に忠実な者たちはトルコの中心にいる。昨日と同様に」というメッセージが含まれていた。
また、イスタンブールでの攻撃のわずか数時間前には、あるイランの記事が、トルコ情報機関トップのハカン・フィダン氏が10月22日にイランのシラーズのシーア派聖廟で発生し15人の死者を出したテロ攻撃に関与しているとともに、アゼルバイジャンの分離主義も助長していると非難して物議を醸していた。
この攻撃にはダーイシュが犯行声明を出した。
以前にも、イラク北部のモスルのPKKを標的としたトルコによる空爆を受けてなされた、同所にあるトルコの拠点に対するロケット弾攻撃の背後には、親イランのシーア派民兵組織がいると非難されていた。
2015年から2017年にテロ攻撃が増加して民間人や治安部隊員数百人が死亡したことを受け、トルコはシリアとイラク北部にあるPKKの潜伏場所に対していくつかの越境軍事作戦を開始した。