
アラブニュース
ロンドン:国連人権担当事務局は、イラン当局が死亡したデモ参加者の遺体を遺族に引き渡すことを拒否しているとの報告を受け、憂慮していると述べた。
国連のジェレミー・ローレンス報道官は、イランで進行中の反政権デモに対する治安部隊の弾圧が強化される中、死者の数が増加しており、同国の危機的状況を浮き彫りにしていると述べた。
同報道官は、家族が愛する肉親の死について黙秘するか、または死因についての誤ったシナリオに従うことに同意しない限り、デモ参加者の遺体が治安部隊の人質のままになっているとの報道について懸念を表明した。
情報筋がBBCに語ったところによると、肉親の遺骸を引き取るため遺体安置所を訪れた遺族は、死亡者が暴徒に殺された傍観者か民兵の一員であるとする国営メディアの見解を支持するよう圧力をかけられたという。
先週には、14歳のセペフル・マグサウディさんがイラン南西部の都市イゼでの抗議活動中に射殺された後、当局が遺体を安置所から引き取った、と家族に近い関係者がBBCペルシア語に語った。
警備担当者は親族に対し、悲嘆に暮れる中で「人々が何か行動を起こすかもしれない」ため、遺体を引き渡さないと伝えたという。
多くの遺族が、デモの最中に治安部隊が自分たちの親族を殺害したとして公然と非難したにもかかわらず、後になって見方を変え、死因についての公式発表に同意している。
このため、ソーシャルメディアなどでは、遺族の供述が強要されたものなのではないかとの憶測が広がっている。
先週16日、イゼで射殺された9歳のキアン・ピルファラク君の母親は、彼の葬儀で、彼は治安部隊に殺されたのだと語ったという。
当局は、彼は「テロ」攻撃で死んだと主張した。
同日遅く、この母親は国営テレビに出演し、自分の発言を撤回するとともに、発言が「誤用」されないよう注意を促した。
BBCの報道によると、21日にイラン北西部の都市ジャヴァーンルードから発信された映像には、ピックアップトラックで運ばれるデモ参加者1人の遺体が映し出されていた。
その遺族は遺体について、当局に遺体が盗まれる可能性のある霊安室に運ばれることを拒んだという。
国連人権担当事務所によると、ここ9週間の抗議行動で、40人以上の子どもを含む計300人以上が殺害された。
加えて、抗議行動に関係した少なくとも6人が、「神に対する戦争の実行」や「地上界での腐敗」の罪で死刑を宣告されたと伝えられている。
国連人権担当報道官であるローレンス氏は、「我々はイラン当局に対し、抗議行動を抑え込むために不必要あるいは不当な強制力を行使するのではなく、平等、尊厳、権利に対する人々の要求に対応するよう求める」と述べた。
「イランでは、重大な人権侵害に対する説明責任が依然として欠如しており、それが高まる不満の原因となっている」(ローレンス氏)
同事務所はイラン当局に対し、抗議の権利を行使しただけで拘束されてしまったすべての人々を釈放し、そうした人々に対するすべての容疑を取り下げるよう求めている。