
モントリオール:国連のアントニオ・グテーレス事務総長は6日、多国籍企業が世界の生態系を「利益のためのおもちゃ」にしていると非難し、軌道修正できなければ壊滅的な結果を招くと警告した。
グテーレス事務総長は、モントリオールで生物多様性についての協議が始まる前のスピーチで、「留まるところを知らない不平等な経済成長に対する限りない欲望によって、人類は大量絶滅兵器になってしまった」と述べた。
元ポルトガル首相である同事務総長は2017年の就任以来、気候変動について事あるごとに発言してきた。
生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の開会式で同事務総長が口にした激しい非難は、地球上の絶滅の危機に瀕した植物と動物の窮状(相互に関連した危機だ)についても同じくらい関心を持っていることを明らかにした。
同事務総長の講演前には、この会議を中国と共催しているカナダのジャスティン・トルドー首相のスピーチが5~6人の先住民の集団による抗議で遮られる一幕があった。
彼らは、「先住民ジェノサイド=エコサイド」「生物多様性を守るために我々の土地への侵略を止めろ」と書かれた横断幕を振りながら数分間スローガンを唱えると、まばらな拍手を受けながら連れ出された。
トルドー首相はこれを受けて、「ご覧の通りカナダは表現の自由がある国で、個人やコミュニティには公然と力強く自分の意見を述べる自由があるし、我々は彼らが考えを共有してくれたことに感謝している」と述べた
今回の会議は、先月行われた気候変動に関する国連の会議(COP27)とは別のものだ。
12月7日~19日に開催される今回の会議には、「生物多様性版パリ協定」を打ち出そうと、200ヶ国近い国々の代表が集まっている。
しかし、課題は山積している。
100万種の生物が絶滅の危機に瀕している。
全陸地の3分の1が深刻に劣化しており肥沃な土壌が失われつつある。
汚染と気候変動によって海洋の劣化が加速している。
化学物質、プラスチック、大気汚染が陸地、水、大気を窒息させている。
化石燃料の燃焼が引き起こした地球温暖化によって、熱波、森林火災、干ばつ、洪水などの異常気象が発生している。
グテーレス事務総長は、「我々は自然をトイレであるかのように扱っている」と歯に衣を着せず述べた。
さらに、雇用、飢餓、病気、死に対する影響を通して「究極的には我々が代わりに自殺を図っているのだ」と続けた。
ちなみに、生態系劣化による経済的損失は2030年以降は年間3兆ドルに上ると推定されている。
今回の会議に先立ち、AFPは国連生物多様性条約(CBD)事務局長のエリザベス・ムレマ氏に話を聞いた。
同氏は、失敗は選択肢にないと言う。
「パリ協定が成功するためには、生物多様性についての取り組みも成功しなければならない。気候変動対策が成功するためには、自然についての取り組みも成功しなければならない。だから我々は協力してそれらに対処しなければならない」
10年間の枠組みの目標案に含まれるのは、2030年までに世界の陸と海の30%を保全するという基点目標、有害な漁業・農業に対する助成金の撤廃、外来種対策、殺虫剤の削減などだ。
新たな目標の実現は、地球上に残る生物多様性の約80%が生きている土地を管理する先住民の関与に大きく依存することになる。
資金調達という主要な問題について既に意見の相違が出てきている。
富裕国は発展途上国の自然保護のためにより多くの資金を出すよう圧力を受けているのだ。
今回の会議には世界各国の首脳がほとんど出席しておらず(カナダのトルドー首相だけと見られる)、希望には既に影が差している。
COP15は現在中国が議長国を務めているが、新型コロナパンデミックの影響で開催地とはなっていない。
AFP