アラブニュース
ロンドン:米国はシリアに対する制裁を緩和し、6日の地震発生以降、人道的支援をほとんど受けていない同国北西部への救援物資の輸送を速める方針だ。
米国財務省は「地震救援に関連する取引」として180日間の免除措置を講じた。しかしアナリストはガーディアン紙に対し、「紛争でひどく荒廃し、大半が反対派の支配下にある地域では、この措置にはほとんど実質的な効果はないだろう」と述べた。
国際危機グループ米国プログラムのシニアアナリストであるディレイニー・サイモン氏は、「これで突然せきを切ったように、シリアで人道的アクセスと輸送が滞りなく進むようになるとは思わない」と述べた。
「他にもアクセスに関する問題は山積みだ。しかし今回の許可により、金融業者や民間企業などの懸念が和らぎ、科されている制裁がシリアに関わるリスクにはならないことを示すことになると期待している」
ウォーリー・アデイモ財務副長官は、米国政府は 「シリア国民の命を救う取り組みを妨げることはない」と述べた。
アデイモ副長官は、制裁にはすでに人道的努力に対する「強力な免除」が含まれていることに触れながら、今回の暫定的な修正は、すべての地震救援活動に対する「包括的一般許可」に相当すると述べた。
しかし、中東研究所シリア・プログラムの所長であるチャールズ・リスター氏は、「救援の遅れは、この地域へのすべての輸送を管理するというシリア政権の要求の結果である」と述べた。
「このため国連は基本的に、直ちに国境を越えて震災救援のために積極的に行動する意欲(能力ではなく意欲)を、事実上失ってしまったようだ」とリスター氏は続けた。
それでもなおリスター氏は、シリアとその同盟国による、「西側の制裁が遅れの原因である」という主張をはねつけるための手段として、米国の決断を歓迎した。