


バサム・ザアザア
ドバイ:多くの教育関係者がストライキを行う中、あるレバノン人教師は自宅の居間を教室に変え、生徒が勉強を続けられるようにしている。
レバノンの金融と経済が危機に瀕する中、公立学校の教師たちは2カ月前から政府に賃金の引き上げを求めて争っている。
「7年生と8年生がまた学期を逃すのをもうだまって見ていることはできませんでした。そうでなくてもコロナウイルス感染症による都市封鎖でさんざん機会を失ってきたのですから」。ザウタル・エル・ガルビエの村の自宅で、ソーサン・ムハンマド・ディアブ氏はアラブニュースに語った。
「何人もの生徒がワッツアップやEメールで授業について質問してきたので、うちに来てもらって答えればいいのではないかと思いました。(中略)こうして、人倫に則った取り組みが始まったのです」
これまでに20人を超える生徒たちがこの臨時教室を利用しているという。
村の公立学校で英語を教えるディアブ氏は今回の特別クラスを無料で行っている。多くの家庭で授業料を支払う余裕がないからだ。だが、ディアブ氏はこの授業で教育界に気づきが広がればと願っている。
「実利にこだわらないようにと仲間に呼びかけたいです。教育は高潔なメッセージだからです。私たちは、生徒に対して人道にもとづいて教育の義務と責務を果たさなければなりません」
ディアブ氏はおよそ1カ月前に自宅授業を思いつき、ワッツアップを通じて保護者のグループに宣伝をした。近所に住む子どもが多いので、実行しやすかった。
「質問を受けていると、生徒たちが学ぶことに飢えているのがよく分かりました。私も責任を感じましたし、生徒たちの努力を無駄にしたくないと思いました」
ディアブ氏のやり方が成功したのを受け、同僚の何人かが後に続いた。
「アラビア語と数学の教師も同様に授業を進めています」とディアブ氏は言った。
レバノンが経済危機に陥って以来、多くの公立学校が資金不足のために閉鎖を余儀なくされている。また、国内の125万人の生徒の約60%が私立学校に通っているが、保護者が学費を工面するのが難しくなり、その数は減少している。