
イスタンブール:20日、在外トルコ人がトルコ大統領選挙決選投票の投票を開始した。この決選投票は、現職のタイイップ・エルドアン大統領と、同大統領の20年にわたる統治を終わらせることを目指す対立候補ケマル・クルチダルオール氏の一騎打ちとなる。
この決選投票はトルコで5月28日に実施される。エルドアン大統領にとってこれまでで最大の政治的挑戦になるとみられていた14日の第1回投票で、同大統領の得票率が無条件の当選に必要な過半数に僅かに届かなかったためだ。
合計6400万人以上の有権者のうち、約340万人のトルコ国民に国外での投票権がある。彼らは5月20~24日に投票を行う。
国営アナドル通信によると、アジアと欧州の国々で在外者投票が始まっている。
ドイツには世界最多のトルコ人ディアスポラが住んでおり、約150万人に投票権がある。
14日の議会選挙では、エルドアン大統領率いる与党AK党とナショナリスト政党の同盟が安定多数を確保した。
大統領選では、野党6党連合の統一候補であるクルチダルオール氏の得票率は44.88%で、49.52%を獲得したエルドアン大統領の後塵を拝した。クルチダルオール氏が優勢だとの事前世論調査を裏切る結果となった。
今注目を集めているのは、大統領選に出馬し5.17%の票を集めて3位につけたナショナリストのシナン・オアン氏だ。同氏が決選投票の候補者2人のいずれかを支持することを決めれば結果を左右する可能性がある。
クルチダルオール氏は第1回投票でエルドアン大統領の後塵を拝した後、ナショナリスト的なレトリックを用いるようになった。政府は1000万人の難民がトルコに入るのを許したと非難し、自分が当選したら彼らを全員送還すると言ったのだ。
同氏はこの移民の数に関する根拠は示さなかった。公式の数字によると、トルコは約400万人という世界最多の難民を抱えている。オアン氏は、内戦で難民となった約360万人のシリア人を含む移民を送還するという公約を掲げて選挙戦を闘った。
エルドアン大統領は、トルコが生活費危機、インフレ亢進、2月の大地震の影響などに苦しむ中、NATO加盟国であるこの国の安定を確保できるのは自分だけだと言っている。
ロイター