
カイロ:スーダン軍は5月31日、アフリカ北東部スーダンの支配権をめぐって数週間にわたって交戦してきた準軍事組織との停戦協議への参加を一時停止したと、軍報道官が発表した。
スーダン軍報道官のナビル・アブダラ准将はAP通信に対し、今回の決定は、首都ハルツームで病院やその他の民間インフラを占領し続けているなど、即応支援部隊(RSF)が人道支援を目的とした停戦を「繰り返し違反している」ことに対する抗議であると語った。
4月中旬に、アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍が率いるスーダン軍とモハメド・ハムダン・ダガロ将軍が指揮するRSFの間で戦闘が勃発し、スーダンは混乱に陥った。民間人犠牲者の追跡調査を行っているスーダン・ドクターズ・シンジケートによると、この戦闘で少なくとも866人の民間人が死亡、数千人が負傷しているという。同医療団体は以前から、犠牲者はもっと多い可能性があると述べていた。
スーダン軍のアブダラ報道官は、軍はさらなる措置を議論する前に、米国とサウジアラビアが仲介した停戦条件が「完全に履行される」ことを確認したいと発言した。それ以上の詳細な説明はなかった。
5月21日、双方は人道支援の提供と戦闘で破壊された基本サービスの復旧を認める停戦協定に署名した。また、住宅や人道支援物資の略奪、病院や発電所などの民間インフラの占拠を停止することでも合意した。
これまでにスーダンでは7回の停戦が宣言されているが、いずれも完全には守られていない。
このスーダン軍の動きに対し、RSFは「サウジアラビアと米国の取り組みを無条件で支持する」と発表した。
スーダン軍は5月30日、最高司令官のブルハン氏が部隊を視察している様子をとらえた映像を公開した。ブルハン氏は、RSFが「理性の声に応じない」場合、スーダン軍は「全力で致死的な武力行使」に訴えると警告した。スーダン軍の航空機が首都上空を飛行するのも確認されている。
一方、住民によると、30日遅くにハルツームと隣接する都市オムドゥルマンの一部で衝突が発生した。
双方は停戦に違反したことを非難し合っている。
双方が不安定な停戦をさらに5日間延長することで合意した2日後に、今回のスーダン軍の発表があった。
米国とサウジアラビアは5月28日の共同声明で、停戦合意を尊重するように改めて要請するのではなく、1週間の停戦協定の具体的な違反について紛争当事者双方を非難した。
声明によると、スーダン軍は空爆を続けている一方、RSFは依然として民家を占拠し、財産を押収しているとのことだ。また、燃料、金銭、援助物資、人道支援関係車両が盗まれ、スーダン軍の支配地域とRSFの支配地域の両方で盗難が発生していると付け加えている。
この戦闘により、ハルツームと隣接するオムドゥルマンとバーリの住宅地が広範囲にわたって破壊されている。住民らは、主にRSFによる自宅への襲撃や略奪を報告している。多くの住民が略奪された自宅の写真や動画をソーシャルメディアに投稿し、略奪を非難している。
今回の紛争で、ハルツームやその他の都市部も戦場と化し、約140万人がスーダン国内の安全な地域へ避難したり、近隣諸国へ渡ったりすることを余儀なくされている。当初、何千人もの外国人居住者が慌ててスーダンから脱出する中、外国政府は外交官や自国民の避難を急いだ。
ロイター