
ベイルート:渦中の国境エリア「ブルーライン」においてレバノン軍とイスラエル軍が直接衝突に至りそうになったあと、レバノン南部の国連平和維持隊が9日に沈静化を呼びかけた。
レバノン軍は、この地域で掘削を行うイスラエルのブルドーザーとショベルカーに抗議するAarqoub町周辺の村の住民を守るために派遣された。
村民らは分離フェンスの一部を撤去するために、国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)が引いた国境線を越えようとして、イスラエル軍から催涙ガスを浴びせられた。
レバノンの暫定文化大臣であるモハメド・モルタダ氏は次のように述べた。「イスラエルの人々は、催涙ガス弾によって地主や権利者による侵害行為への対抗を止められると思うほど愚かなのだろうか」
イスラエル軍は、「暴動」に対応していると述べ、レバノンの兵士2名がシェバー・ファームズ地域で「RPG(対戦車擲弾)2丁をイスラエルの警備隊に向けた」と主張した。
クファルチョウバに住む退役軍人のイスマイル・ナーセル氏(58)は、催涙ガスに屈することなくブルドーザーの前に立ち、さらなる掘削を妨げた。ナーセル氏は、イスラエルがブルドーザーで掘った土地は自分とその先祖のものだと述べた。
ナーセル氏の行動をうつした動画では、ブルドーザーの運転手が前に進んで、彼に砂を投げつけようとし、その後彼が近くにいた人々によって引き離される様子が見られた。
ナーセル氏は、イスラエルがブルドーザーで掘った土地は自分とその先祖のものだと述べた。
レバノンの治安関係者はアラブニュースに、イスラエルはこの1週間以上にわたってAarqoubで「異常に活動的」になっていて、特にクファルチョウバの丘陵地帯でそれが顕著だと述べた。
「彼らは、Al-Sammaqahと、クファルチョウバのBaathael池に隣接するBawabat Hassanの間に新たに鉄製フェンスを2キロメートル延長するために、溝を掘り、岩を除去して地域の地形を変えようとしている」と、この関係者は述べた。
クファルチョウバの住民らが所有する境界未確定エリアはおよそ8キロメートルだ。
クファルチョウバ、シェバー、Kfarhamamとスンニ派が多数を占める町Aarqoub周辺の村々の住民らは、イスラエルの活動に抗議するため、 クファルチョウバで金曜礼拝を行った。
国会議員のカッセム・ハシェム氏とHasbayyaおよびMarjaayounのイスラム法顧問シェイク・ハッサン・ダラー氏は、「敵」によるブルドーザーでの掘削を非難し、UNIFIL部隊に「イスラエルによるレバノンの主権に対する侵害行為を終わらせる」よう求めた。
UNIFILのアンドレア・テネンティ報道官は次のように述べた。「UNIFIL 平和維持隊は当初から現地におり、敵対行為の停止を確実に維持し、安定を回復し、緊張緩和を支援するよう努めている」
「誤解や侵害を防ぐために我々の調整メカニズムを効果的に活用し、地域の安定維持に貢献するよう当事者に要請する」
「UNIFIL は積極的に解決方法を模索している。我々は双方に対し、緊張を高める可能性のあるブルーライン沿いでの活動を避けるよう求める」
UNIFILの年次任務は9月に更新される予定だ。前回の更新では、レバノン軍との調整を必要とすることなく、独自に活動する自由を拡大する指令が国連安全保障理事会から与えられていた。
イスラエル軍は1973年にシリア領土のクファルチョウバ高地と周囲の農地を占領したが、1974年にシリアと兵力引き離し協定を結んだ後に撤退した。
クファルチョウバでは、1976年にパレスチナ人特殊部隊が占領中のイスラエル軍を町から追い出す際、激しい戦闘が行われた。
その2年後、イスラエルはリタニ作戦の一環でレバノン国境地域に侵攻し、クファルチョウバをいくつかの地域を占領した。
2000年に、イスラエル軍がレバノン南部の町の大部分から撤退し、ブルーラインと呼ばれる撤退ラインが引かれた。
クファルチョウバ丘陵とシェバー・ファームズについては、国連がこの地域の帰属問題は将来のイスラエル・シリア紛争の解決策に関わるとみなしたために、解放地域から除外された。
しかし、レバノン政府とヒズボラはこの地域を占領下にあるレバノン領土だと宣言した。