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フィンランドのNATO加盟、トルコとハンガリーの承認により実現へ

エルドアン大統領は、フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領に、フィンランドはトルコの安全保障上の懸念に対処する強い意志を示したとの評価を伝えた。(AFP)
エルドアン大統領は、フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領に、フィンランドはトルコの安全保障上の懸念に対処する強い意志を示したとの評価を伝えた。(AFP)
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19 Mar 2023 09:03:44 GMT9
19 Mar 2023 09:03:44 GMT9
  • フィンランドとスウェーデン両国は、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに数十年にわたる軍事上の非同盟戦略に終止符を打ち、世界で最も強力な防衛同盟、NATOへの加盟を希望してきた

アンカラ:トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、外交面の問題により数ヶ月停滞していた手続きを再開し、フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟を速やかに批准するよう議会に要請した。

これと同時に、フィンランドの承認をやはり保留していたハンガリーも、批准投票を3月27日に行うことを決定しており、米国主導の防衛同盟、NATOは数カ月以内に加盟31カ国に拡大することになりそうだ。

ロシアと1,340kmに及ぶ国境で接しているフィンランドが加盟すれば、NATOの冷戦時代の敵国・旧ソ連の大部分を占めるロシアとの国境線の長さは約2倍になる。

フィンランドは当初、同じくNATO加盟を目指す北欧の大国、スウェーデンとの同時加盟を目標としていた。しかし、スウェーデンは、トルコとの諸々の不合意点の調整に苦しみ、7月の同盟サミット前の加盟実現は難しい情勢となっている。

フィンランドとスウェーデン両国は、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに数十年にわたる軍事上の非同盟戦略に終止符を打ち、世界で最も強力な防衛同盟、NATOへの加盟を希望してきた

両国の加盟申請は、昨年6月のNATO首脳会議で受理された。この首脳会議は、第二次世界大戦以来のヨーロッパで最も深刻な紛争が続く中、ロシアに立ち向かう西側諸国の意思を示すものだった。

しかしNATOへの加盟申請は受理後に30カ国すべての議会で批准される必要があり、両国の加盟プロセスは、トルコとハンガリーの批准がネックとなり頓挫してしまった。

最近大きな進展を見せるまで、トルコと北欧両国との数ヶ月に及ぶ交渉は、何度も決裂の危機を直面する、緊迫したものであった。

エルドアン大統領は、フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領に、フィンランドはトルコの安全保障上の懸念に対処する強い意志を示したとの評価を伝えた。

エルドアン大統領は会談後、記者団に「フィンランドのNATO加盟の外交手続きを我が国の議会で開始することを決定した」と語った。

大統領はさらに、5月に行われるトルコの重要な総選挙の前に、議会がこの申請を承認することが望ましい、と付け加えた。

トルコ議会は4月中旬に今会期を終了する予定だ。

一方、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、トルコの批准決定を歓迎する一方で、スウェーデンも「できるだけ早く」加盟することが重要だと強調した。

ストルテンベルグ事務総長は、「最も重要なことは、フィンランドとスウェーデンがともに速やかにNATOの正式加盟国となることであり、全く同時に加盟するかどうかではない」と述べた。

米国政府もNATO事務総長と同様の姿勢を示している。ジェイク・サリバン国家安全保障顧問は、米国はハンガリーに対し、スウェーデンとフィンランドの批准手続きを「遅滞なく」完了するよう促したと明らかにした。

また、フランスの外務省は、フィンランドに関するトルコの発表を「重要なシグナル」と呼ぶ一方、スウェーデン加盟への支持も改めて表明した。

エルドアン大統領は、フィンランドとスウェーデンが、2022年6月に結んだ、トルコが加盟を承認することに合意する前提となる別の取り決めの条件を破ったと非難していた。

トルコは、非合法武装勢力や2016年のクーデター未遂事件との関係を非難する数十人のクルド人およびその他の容疑者の引き渡しを求めている。

エルドアン大統領の要求は、5月に行われる選挙が近づくにつれ、自身にとってもより切迫したものとなっている。この選挙では、大統領は既に20年にわたる任期をさらに延長するため、国家主義的な支持者からの票を多く得る必要がある。

エルドアン大統領は、二国のうちでクルド人の居住者がより多く、トルコとの軋轢の歴史がより長いスウェーデンに特に不快感を示している。

フィンランドとスウェーデンは当初、同時加盟を諦めることに抵抗していた。

しかし、昨年10月の首相就任以前からNATO加盟を優先事項としていたスウェーデンのウルフ・クリスターソン首相は14日、フィンランドが単独で加盟する可能性が「高まった」と認めた。

フィンランドのニーニスト大統領は、トルコの決定を「フィンランド全体にとって非常に重要なこと」と評価している。

しかし同時に、「フィンランドの加盟は、スウェーデン抜きでは完結しない 」ともニーニスト大統領は付け加えた。

スウェーデンは、今回のNATOの拡大から除外されたことに失望を表明している。

スウェーデンのトビアス・ビルストロム外相は、ストックホルムで記者団に対し「これは我々が望んでいた展開ではないが、対応する準備はしてきている」と語った。

また、アンカラでの会談は、ハンガリーの議会に対して批准手続きの開始を求める圧力をさらに強めるものでもあった。

AFP

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