
ジュネーブ:国連は14日、早期警報と防災システムが適切に機能していれば、リビアの水害による数千人の死者の大半は死なずに済んだはずであると発表した。
国連世界気象機関(WMO)のペッテリ・ターラス事務局長はジュネーブで記者団に対し、危機的状況に陥ったリビアでよりよい連携が機能していれば、「警報を発し、防災部隊が住民を避難させ、人的被害の大半を防ぐことができたであろう」と語った。
同氏のコメントは、週末にリビア東部を襲った津波規模の鉄砲水により、少なくとも5,000人が死亡、さらに数千人が行方不明となり、死亡の恐れもあることを受けてのものである。
このすさまじい洪水は上流の河川ダム2つを決壊させ、デルナの街は、街区全体と数え切れないほどの人々が地中海に流されるという黙示録的な荒れ地と化した。
ターラス事務局長は、気象予報や早期警報の発信・対策が不十分であったことが、災害の規模を拡大させた大きな要因であると述べた。
数年に及ぶ国内紛争で国が破壊されたことにより、同国の気象「観測ネットワークはすっかり破壊され、ITシステムも破壊された」と同氏は語った。
「まともな早期警報システムがなかったため、洪水が起きても避難することができなかった」
もし避難できていれば、人的被害ははるかに少なかったであろう、と同氏は語る。
「もちろん経済的損失を完全に防ぐことはできないが、適切なシステムがあれば、損失を最小限に抑えることもできたはずである」と同氏。
リビアの国立気象センター(NMC)は、72時間前に異常気象の早期警報を出して政府当局に電子メールで通知し、予防策を講じるよう促していた。
しかしWMOは、「(警報が)効果的に発信されていたかどうかは定かではない」とした。
かつてリビア全土で気象業務と防災対策は密接な協力関係にあったが、現在はそうではない。
AFP