
ロンドン:スエズ運河で座礁したコンテナ船が石油タンカーの通行を妨げ、タグボートによる離礁が難航しているにもかかわらず、コロナウイルスによる新たなロックダウンが発生したことで石油製品の需要に対する懸念が再燃し、原油価格は1%以上の下落となった。
ブレント原油の先物価格は一晩で6%上昇した後、木曜日早くには87セント(1.4%)下落して63.54ドルとなった。
米国のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物価格は一晩で5.9%上昇した後、1.02ドル(1.7%)下落して60.16ドルとなった。
ヨーロッパでのパンデミック抑制措置の強化やワクチンの遅れが燃料需要の伸びを阻害するという懸念から週初めに暴落した原油価格は、1,300万バレルの石油を積んだタンカー10隻が通過できない恐れがあるというスエズ運河での座礁のニュースを受けて水曜日に急反発した。
数十隻の船舶が約200km(120マイル)の運河を通過するための5つの待機ゾーンに入っており、さらに多くの船舶がこのエリアに接近しているという。
「この障害が長引けば長引くほど、製油所やバイヤーは他の場所からの供給を確保するためにスポット市場に頼らざるを得なくなるだろう」
こう指摘するINGエコノミクスは、海運会社は遅延の原因となる南アフリカの喜望峰経由ルートを使うかどうかの判断を迫られていると付け加えた。
また、水曜日には、米国のガソリン需要が改善し、製油所の稼働率が回復しているというデータが市場を後押しした。
しかし、アナリストらはこのような下支え要因よりも、世界的な需要に対する懸念の高まりが重要視される可能性が高いと指摘している。
豪コモンウェルス銀行の商品アナリスト、ビベック・ダール氏は次のように話す。「このような要因があったとしても、今週初めに問題となった需要に対する懸念を消すことはできない」
「また、ヨーロッパに焦点が当てられていたが、インドやブラジルなどでも新型コロナウイルスの感染者が増加している。これらの発展途上国は持続的な石油需要の増加を語る上で非常に重要な要素だ」
インドは水曜日、新たな感染者と死者の数が1日で最も多くなったことを報告し、コロナウイルスの新たな「二重変異型」が見つかったと発表した。
根強い需要不安と原油価格の下落を受けて、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟産油国で作るOPECプラスは、4月1日に予定されている会合で現在の供給制限を5月にロールオーバーするのではないかとの見方が強まっている。OPECプラスの関係者4人がロイター通信に語った。
ロイター通信
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