
九州北部を襲った記録的な大雨で、土石流が発生し1人が死亡した福岡県久留米市では、地域医療の中核を担う「田主丸中央病院」も浸水被害に遭った。入院患者らは無事避難したが、スタッフ総出で泥の清掃作業に当たるなど、早期の診療再開を目指している。
同病院では10日午前5時ごろ、1階が高さ30センチほど浸水した。スタッフが約50人の患者を急いで上の階に避難させたが、避難完了後まもなく停電し、エレベーターが使用できなくなった。人工透析も行えなくなり、患者は近くの病院に一時的に転院。11日時点でも電気や水道は止まっており、非常用電源で医療用設備などを動かしている状況だという。
11日には病院の全スタッフやボランティアがモップなどを使って水や泥をかき出す作業に当たった。外来患者は断らざるを得ない状況だったが、それでも体調不良を訴える高齢者には対応を続けたという。
その後、県や市、災害派遣医療チーム(DMAT)なども支援に入った。しかし、水に漬かった機器の故障確認もままならず、再開は見通せていない。医事課長代行の石飛隆敏さん(56)は「電気や機器のチェックをした上でなければ正常な外来診療はできない。気持ちとしてはあしたにも再開したいが、数日はかかるのではないか」と話した。
JIJI Press