サウジアラビアは、持続可能な社会の実現に向けて極めて重要な時期を迎えている。「ビジョン2030」の発表以来、サウジアラビアは2060年までに排出量ゼロを達成し、10年後までに電力の50％を再生可能エネルギーで賄うという政策を打ち出している。

これらは紛れもなく大胆な目標である。しかし、真の成功の尺度は、サウジ国民がこの変革をどの程度受け入れ、推進するかにかかっている。トップダウンの政策は不可欠だが、それを補完するボトムアップの動きも必要だ。

持続可能性を成功させるには、国民の幅広い支持が必要であることは、いくつかの国が示している。ドイツのエネルギウェンデは、2045年までに気候変動に左右されないエネルギーシステムに移行するための長期的なエネルギー・気候戦略であり、国民的コミットメントの力を示している。

1996年に開始されたコスタリカの受賞歴のある環境サービス支払制度（Pago por Servicios Ambientales）は、森林保護に対する土地所有者への補償制度であり、環境に対する意識を高め、環境に優しい行動を促進する上で大きな成功を収めている。

ブラジルの大規模なバイオ燃料プログラムが社会的に受け入れられたことは、その成功に不可欠であった。ガソリンまたはサトウキビ由来のエタノールで走行可能なフレックス燃料車が広く普及したことで、バイオ燃料の市場が形成され、再生可能エネルギーが受け入れられるようになった。

2003年に導入されたフレックス燃料車は、現在、ブラジルの乗用車販売台数の約90％を占めている。また、ブラジルのすべてのガソリンスタンドが、競争力のある価格でバイオ燃料を提供している。

再生可能エネルギーと持続可能なライフスタイルへの移行は、しばしば個人的な課題や不安によって妨げられる。経済的な負担、ライフスタイルの調整への抵抗、技術的な不確実性、乗り遅れることへの不安などが大きな障壁となる。

環境に優しい製品、効果的なリサイクル、省エネ対策に関する明確なガイダンスがないことは、人々を遠ざけることがある。最善の省エネルギー対策とは何か？こうした個人的な問題は些細なことではなく、対処しなければならない。

小学校から高等教育まで、あらゆるレベルに持続可能性を取り入れることで、環境問題に対処できる世代を育成することができる。

ロドリゴ・タバレス

持続可能な未来を育むためには、教育が不可欠である。初等教育から高等教育まで、あらゆるレベルに持続可能性を取り入れることで、環境問題に対処できる世代を育てることができる。

ドイツ、デンマーク、コスタリカ、ブラジルは、持続可能性の実践を学生に教えている。文化セクターもまた、環境に優しい行動をめぐるアイデアを効果的に広めることができる分野である。

サウジアラビアの文化省は2018年の設立以来、公立学校のカリキュラムに創造的な分野を取り入れることで、新しい世代の文化的生産者と消費者を育成してきた。

このアプローチにより、文化関連の大学課程では非常に多くの卒業生が輩出され、新たな学術部門や研究所の発展につながっている。

サウジアラビアは、学術研究、データ管理、職業訓練に投資することで、持続可能性への取り組みをさらに強化することができる。

新世代の若い気候変動リーダーは、官民両部門ですでに大きな成果を上げている。しかし、サウジアラビアが若年層の潜在能力を活用するには、この人材プールを大幅に拡大する必要がある。

人口の63％以上が30歳未満であるサウジアラビアの若者にとって、持続可能性は豊富な雇用機会と魅力的な目的を提供するのだ。

• ロドリゴ・タバレス氏は、ノヴァ・スクール・オブ・ビジネス・アンド・エコノミクスのサステナブル・ファイナンスの招聘正教授であり、グラニト・グループの創設者兼CEO、サンパウロ州政府の元外務省局長である。