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なぜアラムコは他の国際石油企業各社よりも優れた業績を見せているのか

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11 Aug 2020 09:08:44 GMT9
11 Aug 2020 09:08:44 GMT9

サウジアラムコは日曜日に第2四半期の収益を発表し、上半期と第2四半期の純利益がそれぞれ50%と73%減少したにもかかわらず、750億ドルの配当を維持すると発表した。この措置は一部では不思議に思われたかも知れないが、同社の立場から見れば理にかなっているものだ。第2四半期には、スケジュール通りに187.5億ドルが支払われる。

サウジアラムコは昨年12月、世界最大の株式公開(IPO)によってサウジ証券取引所(タダウル)に上場し、かかる額の配当を市場に約束していた。配当方針を維持することは、同社がその言葉どおりに優良な企業であるとサウジアラビアの投資家たち示すという点で重要だったのだ。

第2四半期の純利益は66億ドルと一見低下してはいるが、依然としてアラムコは61億ドルに及ぶプラスのフリーキャッシュフローを生み出している。これは注目に値することで、その結果アラムコは、その大多数が第2四半期に純損失を記録した国際的な石油企業(IOC)各社よりも、大幅に優れた業績を達成することとなった。

2020年第2四半期は、石油産業史上最悪の四半期として歴史に残ってもおかしくないだろう。 4月は特に深刻で、需要は30%近く急落し、米国のベンチマークであるウェスト・テキサス・インターミディエイトは数時間にわたってマイナスに転じたほどだった。

当時、国際的なベンチマークであるブレントは、1バレルあたり20ドルを一時的に下回っていた。 OPEC プラス(OPECとロシア主導の10カ国の非OPEC産油国)による大規模な生産削減により一定のバランスが取り戻されたため、ブレントは今、1月のレベルに比して30%以上下落はしているが、約44ドル前後で取引されている。

同社は、資本支出(CAPEX)は最小限の250億ドルから300億ドルになると述べており、この点もまた、同業他社と大きく異なってはいない。国際石油企業各社はCAPEXを全面的に大幅削減しているのだ。

今年の第2四半期は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により引き起こされた世界的な封鎖の影響が最も大きい時期となった。しかしアジアの需要は今、新型コロナウイルスによる危機が市場を襲う前の状態に近い水準であり、アラムコの主要市場の多くはアジアにある。アラムコは需要について前向きな見通しを立てており、通年では約10%の縮小に留まっています。

年末に需要がどのような状態にあるかは、まだ未知数だ。多くのことがコロナウイルスを巡る状況がどうなるかに左右されるだろう。一方、経済活動の先行指標であるディーゼル、およびジェット燃料の需要は依然として低迷している。

アラムコが配当を支払える理由の1つは、同社に高い債務負担能力があることだ。ギアリングは20.1%で前四半期のマイナス4.9%から増加しており、同社ではこれを、SABIC(サウジアラビアの多国籍化学メーカーでサウジアラムコの子会社)株式の70%のサウジアラビアの公的投資基金からの買収完了によるものとしている。これによりレバレッジは大幅に上昇しているが、国際基準で見ればまだ非常に低く、アラムコには依然かなりの債務負担能力がありことになる。これが、アラムコが配当を提供できる1つの理由だ。

アラムコはまた、延期されていたリライアンス・インダストリーズによる150億ドル相当の下流部門の事業の株式を、依然購入する予定であるとも述べた。これも、SABICとともに、川下事業の重要企業としてのアラムコの地位を高めるものであるため、重要度の高い新機軸である。

サウジアラムコは、依然として石油業界で最も収益性の高い企業であり、強力なバランスシートと低い生産コストを誇り、経営管理の面でも非常に優れている。株価も33.10 サウジアラビア・リヤル(8.8ドル、中央ヨーロッパ時間(CET)正午)と、株式公開時のレベルを上回っていることは注目に値する。 

優先順位を決定するのは経営陣の仕事であり、アラムコの経営陣は配当の維持こそがまさに優先されるべきものであると決定したということだ。アラムコの明るい見通しは原油価格にも反映され、ブレントは月曜日の中央ヨーロッパ時間(CET)正午には44.85ドルに上昇していた。

  • コーネリア・マイヤー氏は、ビジネスコンサルタント、マクロ経済学者、エネルギー専門家である。 Twitter:@MeyerResources
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