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ディルイーヤ:過去を維持しつつ未来を築く

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24 Sep 2021 01:09:31 GMT9
24 Sep 2021 01:09:31 GMT9

この3ヶ月、アラブニュースは91回目となるサウジアラビア建国記念日を祝して、王国発祥の地であるディルイーヤを中心に特別取材を行ってきた。しかし我々は当初、この取材がタイムマシンで過去、現在、未来を行き来するような体験になるとは思ってもみなかった。

我々は現在を形作ってきた過去の重大な出来事を何世紀にも遡ってたどり、歴代王の多大なる犠牲や、彼らの傍らで戦ってきた全英雄について再調査した。この旅は我々を前進させ、新時代の幕開けとディルイーヤの新たな役割を示すものとなった。ディルイーヤは我々の指導者の壮大な計画に基づき、まもなく世界的に有名な観光地になるために活動を続けている。

今日は読者の皆様を招き、この旅を共に分かち合うことを光栄に思う。本記念号のページや、ウェブサイトのインタラクティブな「Deep Dive」をご覧いただけば、ディルイーヤが常にサウジアラビアの物語の中心であったことを理解して頂けると思う。

15世紀にアブドルアジーズ王の祖先が最初に定住したのは、ワディ・ハニファのほとりのこの地だった。18世紀に第一次サウード王国が栄華を誇り、アラビア半島に平和と安全と統一がもたらされたのもこの地からだった。2010年に世界遺産に登録されたアル・トライフ地区には、ナジュド派の建築家が手がけた荘厳な宮殿がある。

サウジアラビア国家が誕生する前の1818年には、ディルイーヤ包囲という大事件が発生した。それに続く破壊と迫害は、多くの民族を滅ぼしかねないものだったが、この惨事から「自治の明るい未来を切り開こう」という新たな決意が生まれ、最終的に成功を収めることになるのだった。

現在は、ディルイーヤ・ゲート開発局が、世界遺産であるアル・トライフ地区を中心に、生活様式を示す歴史的・文化的な場所としてディルイーヤを世界的観光地にする計画を推進している。このプロジェクトにより数万人の雇用が生まれ、毎年2,700万人の観光客が訪れることが期待されている。

つまり、サウジアラビアの未来は過去を大きな基盤としているのだ。だからこそ、今年の建国記念日は先人の功績を讃えるべきだろう。一方で、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下が「ビジョン2030」の青写真で示したように、この偉大な王国と多くの財宝を世界に公開しようという壮大な計画もある。

建国記念日の取材を進めていくうちに、私はすっかり忘れていた過去の学生時代を思い出していた。ディルイーヤという名は聞いたことがあるし、学んだこともあるし、歴史上の重要な日付や栄光の瞬間も記憶にはあったのだが、これまで実際に目にしたことはなかった。

3年前、初めてこのプロジェクトを取材した際、私はユネスコ遺産のアル・トライフの素晴らしさと美しさ、そしてディルイーヤ地区全体の壮大なプロジェクトに魅了された。2022年初頭には、読者の皆さんもこの地を訪れることができるようになり、その素晴らしさを知ることができることだろう。

アラブニュースはサウジアラビアの建国記念日に、王国発祥の地である貴重な文化遺産を祝福する。

ヌール・ヌガリ

私がこの記事を書いている間も、美しい建物や公園が次々と作られ、職人たちはかつてのナジュド建築の技術を習得し、過去を活かした新しい文化を生み出し続けている。

最後になるが、この3ヶ月、私はアラブニュースの熱心なチームと共にこの素晴らしい物語を取材してきた。素晴らしいプロジェクトを成功させてくれた彼らに感謝の意を表明する。

我々の取材はまた、ディルイーヤ・ゲート開発局の素晴らしいチームの多大なサポートと、彼らが融通を図ってくれたおかげで実現した。特に、編集長であるファイサル・J・アッバス氏と、当局の最高責任者であるジェリー・インゼリーロ氏に感謝する。彼らの情熱、粘り強さ、そして時間厳守がなければ、このプロジェクトが日の目を見ることはなかっただろう。

そして最後に、国内外の読者に向けて一言、述べさせて頂きたい。サウジアラビアの歴史家は「歴史上、アラビアが統一されたのは2回だけだ」と述べている。1回目は預言者ムハンマドとそれに続くカリフの時代、そして2回目はアール・サウードの時代だ。

わずか100年前、アブドルアジーズ王がこの国を統一しなければ、現在のサウジアラビアは恐らく10以上の異なる部族が支配する分裂国家だっただろうと考えると、感慨深いものがある。

国家の過去は破壊されやすいが、過去を大事に維持しながら、その上に未来を築くべきである。今回の偉大なディルイーヤ・プロジェクトは、これを全て実践している。建国記念日というこの機会に、皆様もサウジアラビアの過去を誇りに思い、この国の繁栄、そして改革と進化を続ける未来を思い描いて頂けたらと思う。そして何より、この平和で繁栄した素晴らしい国に住んでいることに感謝して頂けたらと思う。

それでは、良い建国記念日を!

  • ヌール・ヌガリ氏はアラブニュースの編集副主幹(Assistant Editor in Chief)である。Twitter: @NoorNugali
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