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GCC首脳会議、集団安全保障と地域の発展が議題に

2021年12月14日、UAEの首長国通信(WAM)提供の画像。サウジアラビアの首都リヤドで開催された湾岸協力会議(GCC)首脳会議に出席した湾岸諸国の首脳の様子。(AFP)
2021年12月14日、UAEの首長国通信(WAM)提供の画像。サウジアラビアの首都リヤドで開催された湾岸協力会議(GCC)首脳会議に出席した湾岸諸国の首脳の様子。(AFP)
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15 Dec 2021 11:12:23 GMT9

火曜日夜に閉幕した湾岸協力会議(GCC)首脳会議(以下、サミット)は、地域の安全保障、緊急の課題である経済多様化への取り組み、気候変動に対する協調行動にとって、極めて重要な時期に開催された。特に、テヘラン新政権がこれまでの合意を反故にしたことで、ウィーンでの核合意に関する協議は行き詰まりを見せている。米国のアフガニスタン撤退、イラク駐留軍の縮小・再配置は、直接的な関係は無いものの、湾岸の安全保障に影を落としている。

明るい面では、原油価格の上昇と一部の経済改革の成熟により、GCC諸国の経済は上向きになっている。例えば、サウジアラビアは今週、数年にわたる大幅な赤字を経て、2022年の予算が240億ドルの黒字になる見込みであると発表した。また、GCC加盟国全体としては、森林再生や砂漠化防止など、気候変動への取り組みが新たに強化されたこともポジティブな流れといえるだろう。

今回のサミットに先立ち、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が他のGCC加盟5カ国を訪問したこともサミットの成功に貢献した。この訪問は1週間以上にわたって行われ、各訪問先で発表された共同声明に示されているように、訪れた地域が直面している最も重要な問題を取り上げた。このツアーは単なる形式通りのものではなく、その範囲、期間、議論の対象となった問題の重要性、さらにはその重要なタイミングにおいて前例のないものであった。

GCC諸国間の経済統合の推進はこの訪問の目的の一つであり、1981年の設立以来、GCCサミットでは常にこの課題が取り上げられている。石油収入の多い安定した時代がいつまで続くか疑問視される中、このプロセスはより緊急性を増している。すべてのGCC諸国は、将来に備えるために野心的な多角化計画に着手している。GCCにとって多様化にはいくつかの意味があり、国民総生産、産業基盤、政府収入源、輸出、エネルギーなど、そのいずれもがポスト石油の将来にとって重要である。

サミットでは例年、地域の安全保障が主要な議題として取り上げられるが、今回もまた例外ではない。イランの行動がエスカレートしていることは、その代理組織の熱狂的な活動からも明らかであり、危機感は高まっている。フーシ派はサウジの首都リヤドを弾道ミサイルで攻撃する試みを再開し、イエメン政府軍に対する攻撃を激化させた。イラクでは、イランと連携する民兵が10月10日の選挙結果に異議を唱え、ムスタファ・アル・カディミ首相を暗殺しようとした。レバノンでは、イランの重要な戦略部隊であるヒズボラが、同国が長期間にわたり陥っている経済的破綻と政治的閉塞感から脱却しようとする努力を妨害している。

イランが地域覇権と過激派革命へ向けた武力行使を行おうとしていることに対して、GCCはいまや主要な対抗勢力となっている。ただし、GCCは地域の防衛を強化する一方で、イランに平和へ向けた選択肢も与えている。GCC統合軍司令部の司令官、イード・アル・シャラウィ元サウジアラビア陸軍司令官が就任して2年目となる先月、同組織の新体制が発足した。新組織は、陸海空軍など、GCC軍のさまざまな部門の活動を調整する。サミットの最後に発表されたGCC共同コミュニケ(声明文)では、GCC相互防衛条約に謳われている集団安全保障と共同軍事責任の原則が強調されている。

GCC諸国は、物理的な攻撃やサイバー攻撃などの新しい脅威に対処するため、常に軍備の近代化と防衛力の向上を図っている。しかし、今回の共同声明では、イランのハサン・ロウハーニー前政権に伝えられたものと同様の条件に従い、イランと対話する用意があることを表明している。最近、多くのGCC諸国が対立の激化を食い止めるべく、イランとの直接協議に臨んでいる。

イランが地域覇権と過激派革命へ向けた武力行使を行おうとしていることに対して、GCCはいまや主要な対抗勢力となっている。

アブデル・アジーズ・アルウェイシグ博士

もしウィーンでの協議が物別れに終わり、イランが現在の政策を続けるなら、この地域は核拡散や核軍拡競争など悲惨な結果に直面し、国民の生活のための資金は武器に化けてしまうかもしれない。

火曜日の夜、サミット開催地リヤドで発表された最も重要な文書のひとつが「リヤド宣言」である。これは、安全保障、外交政策、開発、環境における今後数年間のGCC発展の指針となる、将来を見据えた一連の合意原則を示したものである。

環境面では、リヤド宣言はサウジアラビアの最近のグリーンイニシアチブ政策を支持し、気候変動と再生可能エネルギーに関するGCC共同作業の基礎とした。また同宣言では、開発、GCC共同プロジェクト、デジタル・トランスフォーメーション、そして経済多様化の取り組みにおいて、女性、および若者、中小企業、民間部門全般の役割の拡大を促している。

サミットでは新型コロナウイルス感染症対策に関する最近の経験を踏まえ、将来のパンデミックに対する備えを強化するとともに、現在のパンデミック対策のベストプラクティスを学び、その経済的・社会的な影響に対処することを呼びかけた。

「コネクティビティ」は今回のサミットで改めて強調された分野の一つであり、GCC鉄道機関の設立が承認され、交通・通信ネットワークの統合の推進が求められた。UAEやサウジアラビアなど、多くのGCC加盟国が鉄道や地下鉄の整備を進めており、リヤド宣言ではGCC全体のインフラの接続を呼びかけている。これらの巨大プロジェクトは、6カ国を統合し、経済の多様化と雇用の創出につながる、新たな産業を生み出すことになるだろう。

  • アブデル・アジーズ・アルウェイシグ氏は湾岸協力会議政治問題・交渉担当事務次長で、アラブニュースのコラムニスト。本記事で表明した見解は個人的なものであり、湾岸協力会議の見解を必ずしも代表するものではない。ツイッター: @abuhamad1
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