

パリ:万国博覧会はあらゆる階層の来場者にとって魔法と驚きに満ちたイベントであり、開催国は世界の多様性を称えながら、自身の成果をアピールできる。そこでサウジアラビアの首都リヤドは2030年万博の開催地への立候補を決定した。結果は約2か月後に発表される。
1851年にロンドンで開催された最初の万国博覧会から2020年ドバイ万博までの過去170年間、これらの名高いイベントは訪問者を魅了し、歴史的、文化的な珍品とともに技術的進歩を紹介する機会を提供してきた。
候補地から万博開催国を選定する組織である博覧会国際事務局(BIE)の事務局長を務めるディミトリ・ケルケンツェス氏はアラブニュースの独占インタビューに応じ、この画期的な文化機関の歴史、継続的な関連性、将来について語った。
万博開催に関心のある国は、何年も前にBIEに書簡と候補地資料を提出し、立候補を届け出る必要がある。その後、事務局は調査団を派遣して、その都市の立候補を評価し、提案を検討する。
「調査団は、候補者の動機、提案されたテーマの魅力、提案された会場と万博後の再利用計画、地方自治体と国家当局の両方からのコミットメントおよびサポートのレベル、参加予測、財務計画などの要素を検討します」とケルケンツェス氏は述べた。
次の2つの万博は開催地がすでに決定している。2025年万博は日本の大阪で、2027年万博はセルビアのベオグラードで開催される。しかし2030年万博の開催地はまだ決まっていない。リヤドのほか、韓国の釜山とイタリアの首都ローマが開催地として名乗りを上げている。BIE加盟国は11月に第173回総会を招集し、開催を勝ち取る候補地を選ぶ投票を行う。
サウジアラビアは、2020年ドバイ万博で受賞したパビリオンで460万人を歓迎し、11のビジネスイベントを含む230のユニークなプログラムによってサウジアラビアの投資、観光、エンターテイメントを促進し、来場者を感動させた。
今年3月にリヤド当局は、5日間の調査任務を遂行するために到着したケルケンツェス氏率いるBIE調査団を歓迎した。調査団は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下、政府閣僚、その他の高官、民間・社会セクターの代表と会談し、万博開催における立候補の実現可能性および実行可能性について話し合った。
当時、ケルケンツェス氏は、サウジアラビアには万博を成功させるために「必要なものはすべて」揃っていると述べた。中国、イスラエル、パレスチナ、イラン、セルビア、UAE、少なくとも24のアフリカ諸国、カリブ共同体、中部アフリカ諸国経済共同体、イスラム協力機構など、数十の国と機関がサウジアラビア立候補への支持を表明している。
しかし、イベント自体の成功は、BIEが開催地を選ぶ際の唯一の優先事項とはならない。ケルケンツェス氏は、「万博は、それを組織する都市における不可欠な要素でなければならず、都市とその住民のニーズと願望に基づいて開催されるべきです」と述べた。
さらにこう付け加えた。「期待される万博のレガシーは、厳密な計画を経て、開催都市の長期計画とビジョンに本質的に結びついている必要があります。万博は、文化、コミュニケーション、連帯、協力、進歩、公共外交のための特別なプラットフォームです。市民社会、政府、企業を直接的および将来的な環境に関与させています」
何十年もの間、万博は開催都市に消えることのない痕跡を残してきた。例えば、1889年のパリ万国博覧会のために建設されたエッフェル塔は、毎年膨大な数の観光客を集めている。
「最初の万博が1851年にロンドンで開催されて以来、万博は都市の経済・文化の再生における戦略的ツールとしての役割を示しています」とケルケンツェス氏は述べた。「万博は、人々がテーマに没頭し、想像力を刺激し、アイデアを集め、世界との有意義なつながりを築くことができる、発見と出会いの場です」
「万博を訪れれば、他の国についてもっと知り、新しい文化に出会い、成果、革新、創造的な解決策を発見し、将来についての議論に参加する機会が無限にあります」
「没入型エキシビション、教養プログラム、素晴らしい建築、幅広いアクティビティなど、万博会場での1日は、オンラインでもオフラインでも、他とは違う体験ができます」
万博の開催地に選ばれた都市にとって、この有名なイベントは成長と発展のための大きな機会となる。
「万博プロジェクトは、長期的に住民、観光客、企業にサービスを提供するインフラや施設の開発を刺激し、将来に向けて都市を整備します」とケルケンツェス氏は述べた。
「建設、計画、観光、新産業の開発を通じて、万博は数十万もの新しい雇用を創出し、地域開発を刺激し、すべての市民を未来に向けたプロジェクトに動員します」
新型コロナウイルス感染症のパンデミックのため開催が1年延期されたにもかかわらず、2021年10月から2022年3月まで開催された2020年ドバイ万博は、ドバイ・UAE・そしてより広範な近隣地域にとっても大成功だった。「Connecting Minds, Creating the Future (心をつなぎ、未来を創る)」をテーマに、192カ国が参加し、6か月にわたり2,400万人以上が来場した。
この万博終了から1年後、アーンスト・アンド・ヤングの調査によると、開催地に選定された2013年から2042年までの間に、UAE経済に合計1,549億ディルハム(420億ドル)をもたらすと推定されている。
リヤド開催が実現すれば、万博史上初となる約4,000万人の直接来場者とメタバースを介した10億人を迎えると予想される。2020年ドバイ万博は参加者数で12位にランクインしたが、ケルケンツェス氏は、客数だけでは成功を測ることはできないと述べた。
「立候補の段階から、開催国とその都市は街の改装や創設、経済の活性化、評判やブランドの向上など、イベントに一定の野心を抱いています」と述べた。
「したがって成功度は、これらの初期目標とプロジェクト開発中に形成された可能性のある目標に基づいて、数年後に測られるべきです」
万博成功に関するほとんどの研究は短期的な経済的利益に焦点を当てる傾向があるが、長期的な結果を分析した研究もあり、ケルケンツェス氏は開催国にプラスの経済効果を示すいくつかの研究結果を強調した。
例えば、1970年の大阪万博は日本の国内総生産(GDP)を2.1%増加させたと評価されており、2000年のハノーヴァー万博はドイツに120億ユーロ(130億ドル)の経済的利益をもたらしたとされる。
来場者数の最高記録を保持する2010年上海万博は、直接収入だけで120億ユーロを生み出し、総観光収入は2,180億ユーロを超えた。
ケルケンツェス氏は次のように述べている。「2015年ミラノ万博では、SDAボッコーニ経営大学院によると、2012年から2020年の間に万博によって総生産量が316億ユーロ増加したと推定されています」
「これはイタリアの国内生産量の1%に相当し、万博自体は2015年だけで41億ユーロの付加価値を生んだことになります。万博後の財政的影響は177億ユーロで、主にイタリアへの観光客増加と万博関連ビジネスの成長によるものでした」
万博のイベントとしての独自性により、その成功を測るのは困難である。来場者数、国際的な参加、経済効果など特定の指標がしばしば用いられるが、生活の質の向上、国家ブランドの強化、外交関係への影響などの他の指標により、より繊細で完全な全体像が見えてくる。
「万博が成功するかどうかは、その後の半年間に何が起こるかにもかかっています」とケルケンツェス氏は述べた。
「BIEにとって、これは極めて重要です。ドバイ万博後のように、開催国と都市の両方がイベントの準備、実施、そしてインフラがすぐに役立つようにするための事後管理において優れている必要があります」