
ラッシード・ハサン
リヤド:気候が変化して水銀濃度が下がり始め、インフルエンザの季節が始まると、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行という二重の脅威があり、多くの人が懸念している。
毎年、冬になると数千人がインフルエンザに感染するが、今年は新型コロナウイルスのパンデミックが健康上の懸念を高めている。
英国王立小児科・小児保健学会(RCPCH)のシェイク・アブドゥッラー博士はアラブニュースに次のように語った。「インフルエンザの季節が刻一刻と迫り、冬の寒さが近づいています。一般的な病気と新型コロナウイルスは混同されやすくなるでしょう」
「新型コロナウイルスのパンデミックが原因で、この秋から冬にかけてインフルエンザウイルスによるインフルエンザやライノウイルスによる一般的な風邪などの呼吸器疾患の蔓延を抑えることは、これまで以上に重要になります」
風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスに感染しているか分からない人は自己隔離し、医師の診察を受ける必要があるとアブドゥッラー博士は述べた。
インフルエンザ、普通の風邪、新型コロナウイルスによる症状は似ているため、症状だけで見分けることは難しい。確実に見分けるには検査を受けるしかないと博士は言う。
しかし、どのウイルスに感染したか判定できる方法もいくらかある。
「鼻水が出るのは風邪ですが、新型コロナウイルスの場合は痰がからまない乾いた咳、熱、嗅覚や味覚の喪失といった特殊な症状があります。インフルエンザは全身に症状が出るのが一般的です」と国家警備隊保健局でも働くアブドゥッラー博士は述べた。
主にこのような症状で、呼吸器疾患を見分けることができる。
「一般的な風邪の場合、症状は口や鼻が中心で、体に現れることは少ないですが、インフルエンザの場合は全身に症状が出るはずです。新型コロナウイルスの場合は長引く熱、乾いた咳、味覚や嗅覚の喪失などの特徴から分かります」とアブドゥッラー博士は述べた。
新型コロナウイルス感染症と疑われる症状は激しい息切れ、味覚や嗅覚の変化だ
シェイク・アブドゥッラー博士
季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は、どちらも無症状から重症までその兆候や症状の度合いはさまざまだと博士は言う。
「新型コロナウイルス感染症とインフルエンザは、熱、咳、倦怠感、のどの痛み、体の痛み、頭痛、嘔吐、下痢などの症状があります。特に子どもはそうです」
「新型コロナウイルス感染症と疑われる症状は激しい息切れ、味覚や嗅覚の変化です。しかし、それは絶対的なものではないため、新型コロナウイルスと断定するためには検査が行われます」
博士によると、どちらの病気も人から人に感染する。また、どちらも主に感染者による咳、くしゃみ、会話の際の飛沫で感染が広がる。
これらのウイルスの重要な感染経路は他に、人との物理的な接触、または感染した表面への接触、次いで口、鼻、および目への接触によるものだった。
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症は同じような方法で感染が拡大すると考えられているが、新型コロナウイルスは季節性インフルエンザよりも感染力が強く、スーパースプレッディング現象が起こりやすいと博士は言う。
博士によると、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザはどちらも高齢者、慢性疾患患者、免疫不全患者といった特定のハイリスク群に影響を及ぼす可能性があるが、インフルエンザの場合は新型コロナウイルスに比べて健康な児童が合併症を起こすリスクが高いという違いがある。
これらのウイルス性疾患の徴候と症状の類似性に加えて、ハイリスク群の症状と入院期間を軽減するための支持療法を含む治療にもいくらか類似性がある。
アブドゥッラー博士によると、管理における主な違いは、インフルエンザには特定の症例に対する治療のために米国食品医薬品局(FDA)が承認した抗インフルエンザウイルス薬があるが、新型コロナウイルスの管理のための抗ウイルス薬はどれもまだ臨床試験で使用されている点だ。
もう1つ大きく違うのは、効果的なインフルエンザワクチンは入手できるが、効果的な新型コロナウイルスワクチンはまだ開発中という点だ。
「一般的な風邪やインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の境界線はまだ非常に曖昧です。定期的に手を洗う、咳やくしゃみをする時はティッシュで口と鼻を覆う、外出時はマスクを着ける、体調の悪い人に近づかない、流行季節の直前にインフルエンザワクチンを接種するなどの予防策を講じることが推奨されています」とアブドゥッラー博士。