
アメーラ・アビド
ジェッダ:サウジアラビアのクライミング愛好家らが、「新たな高み」を求めてNEOM近くの砂漠に集まり、国内初のクライミング・フェスティバルである「ライズ 100」の一環として昨年末に開かれた100の新ルートに挑んでいる。
数々のシングルピッチのルートは、急発展中で結び付きの強いクライマーや冒険者のグループに人気のスポットになっている。
シングルピッチのクライミングルートは、最長がハーフロープの長さ(約30メートル)で、端にアンカーが設置され、あらゆるレベルのクライマーが利用できる。
昨年12月の「ライズ 100」で、NEOMの多様なアドベンチャースポーツの場がととのえられた。環境に対する意識を高め、スリルを求める人たちにスポーツの枠を超えた教育を行うことを目的に企画されたものだ。
現在では、各地に屋内クライミングジムが開設され、国内外のクライマーが集うイベントも増えている。
その結果、若くて熱心なクライマーたちのコミュニティが急速に発展している。
25歳の電子機械エンジニア、アブドゥル・ラーマン・アブガザラ氏は、大学でクライミングに興味を持ってから「クライミング一色の生活になった」という。
今では、この若い冒険者の一日はクライミングを中心に回っている。
そして、NEOMに新ルートが開かれたことは「クライミングのコミュニティにとって意義が大きい」と述べた。
また、アブガザラ氏は、「初心者のクライマーがさまざまな岩種やスタイルのクライミングを体験できるのは素晴らしいことです。ここサウジに来てクライミングができるなら、中東北部のクライマーも挑戦しやすくなります」とアラブニュースに語った。
国内各地にルートが一気に増えれば、クライマーがさまざまなクライミングや岩種に対応する方法を学べる機会も多くなる。
サウジのクライマーの第一人者であるファイサル・アル・ドサリー氏によると、南西部のタノマは花崗岩の硬い岩盤が魅力で人気のクライミングスポットになっているという。
そして「花崗岩は強くて割れにくい」と説明した。
「NEOMの岩はもう少し砂岩に近く割れやすいのですが、幸い、ルートは深くボルトで固定されていて安全です。このように各地で違いがあるので、クライマーは世界のどのような岩にも対応できるようになります」
アブガザラ氏は、サウジアラビアには多種多様の岩が揃っているので、国外のクライマーの誘致に大きな役割を果たす可能性があると述べた。
アル・ドサリー氏は、サウジアラビア初の屋内クライミング専用センターを共同で開設したチームの一員だったこともあり、このスポーツを楽しむ若いクライマーの増加は励みになると語った。
「クライミングは幼い頃から身に付けたい技術で、柔軟性や筋力の向上にもつながる」という。
アル・ドサリー氏は実際にその道を歩んできたクライミングのベテランとして、「いずれオリンピック出場レベルのクライマーが出てくるでしょう」と続けた。
アブガザラ氏は将来が楽しみだという。「私たちには大きな可能性があり、コミュニティの繁栄は時間の問題だと知っているからです」
さらに、クライミングの人気の高まりは、環境への意識の向上にもつながり、「自然に対する考え方に大きな影響を与える」と述べた。
「クライマーとして、自然を愛する者として、ある場所をそのまま、あるいはより良い状態で残すことは、クライミングという行為と同じくらい大切です。岩場を守るのは、その地域で働く人や政府機関のみならず、一人一人の仕事なのです」
クライマーたちは、NEOMのルートはサウジアラビアにとって始まりにすぎず、国内の砂漠地帯と山々が世界中のクライマーを魅了するようになることを確信している。