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折り紙をモチーフにした日本館を手がけた建築家:永山祐子氏

ドバイ国際博覧会の日本館を設計した建築家、永山祐子氏。(ANJP)
ドバイ国際博覧会の日本館を設計した建築家、永山祐子氏。(ANJP)
ドバイ国際博覧会の日本館を設計した建築家、永山祐子氏。(ANJP)
ドバイ国際博覧会の日本館を設計した建築家、永山祐子氏。(ANJP)
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25 Feb 2022 10:02:49 GMT9
25 Feb 2022 10:02:49 GMT9

カーラ・シャハルー

ドバイ:ドバイ国際博覧会が10月に開始され、アラブ首長国連邦は世界の中心的存在となっている。同博覧会には70億aドルが投じられ、中東初の国際博覧会となった。

5年ごとに異なる都市で開催されるこの6カ月間のイベントは、ビジネス、テクノロジー、エンターテインメント、コネクティビティ(つながり)の祭典となっている。

当イベントの公式テーマは「Connecting Minds, Creating the Future(心をつなぎ、未来を創る)」だが、サステナビリティ、モビリティ、チャンスという関連サブテーマも、多様なパビリオンで同等に展開されている。

最も印象的なパビリオンのひとつは、日本人建築家・永山祐子氏が設計した日本館だろう。同博覧会のテーマのひとつである「コネクティビティ(つながり)」にインスピレーションを受けたこのパビリオンの物理的な構造の背後にあるストーリーは、中東とのつながりを受け止めるという日本の決意を象徴している。

ドバイ国際博覧会の日本館を設計した建築家、永山祐子氏。(ANJP)

アラブニュース・ジャパンの独占インタビューにおいて、永山氏はパビリオンの背景にあるインスピレーション、非常に魅力的な構造の制作過程、そしてサステナブルな要素をデザイン要素にどのように取り入れたかについて解説した。

オポチュニティ・ディストリクトにあるこのパビリオンは、広さ5161㎡以上の面積を持ち、唐草模様と麻の葉模様を組み合わせた三次元幾何学格子のファサードは、日本の伝統芸術である折り紙もヒントにしている。

ドバイ国際博覧会の日本館。(ドバイ国際博覧会日本館/有限会社永山祐子建築設計)

「同博覧会のテーマであるコネクティビティを出発点として、唐草模様と麻の葉模様を建築に取り入れることで、中東と日本の幾何学模様の類似性を探りました」と永山氏は語った。

どちらの幾何学模様も本来は平面のものであるが、それを立体化することで複雑さが生まれ、見る角度によって異なる表情を覗かせる魅力的な建築デザインとなっている。

この建築物を、デザイン、構造、使用材料の機能などの観点から分析してみよう。パビリオンのファサードの模様は、スチールロッドとPTFEで作られており、和紙に似た汎用性の高い素材を用いることで、折り紙のような効果を生み出している。

ドバイ国際博覧会の日本館。(ドバイ国際博覧会日本館/有限会社永山祐子建築設計)

「幾何学的な格子構造のファサードは通常、二次元的にデザインされますが、パターンを三次元的にすることで、外観をより斬新に創り上げています。また素材には、環境フィルターとしての機能を果たすものを使用しています」と永山氏は付け加えた。

また、建物正面に水盤を配するなど、中東と日本の文化的なつながりも感じられる建築となっている。

「水が豊富な日本と比べると、中東では水が不十分です。しかし、日本の技術により、この地で水資源を利用できるようになったことも、両国のつながりのひとつといえます」と永山氏は語った。

また、建物を包み込むような立体的な三角形のパターンをなすデザインは、部分的にはエジプトのピラミッドから着想を得ているが、当パビリオンは「白銀比」という別の比率の理論に基づいて建築されたものであると氏は説明した。

「神の比率」として広く知られる有名な黄金比は、数学的な比率に基づいたもので、その芸術的属性から、建築にも取り入れられているが、対してこの白銀比は、東洋、特に日本において、美的なバランスと美しさを連想させるものである。

日本語では「大和比」とも呼ばれる白銀比は、仏教寺院をはじめとする東洋の建築に歴史的に取りれられてきた。

ドバイ国際博覧会の日本館。(ドバイ国際博覧会日本館/有限会社永山祐子建築設計)

パビリオンには、ドバイ国際博覧会が重視するサステナビリティの観点から、デザインと機能を兼ね備えた環境に優しい要素が多く取り入れられている。例えば、建物正面の緩衝地帯と水盤は、視覚的に美しいだけでなく、パビリオン内の空調の必要性を減らすための冷却システムとしての役割も担っている。また、パビリオンのファサードが建物を完全に覆っていないため、水から生まれる涼しい風がエリア全体を循環できるようになっている。これは、ファサードを構成するパーツを特定の位置に配置し、風の流れをパビリオンの方に向けることで実現した。

また氏は、パビリオンの建設のための素材が、リサイクル可能なものであるかどうかを、綿密に検討した。例えば、ファサードのパーツ同士をつなぐスチールロッドは、簡単に解体して再利用することができるものである。

このようにして日本館は、同博覧会のテーマであるコネクティビティを体現しながら、日本の伝統的な概念と革新的な技術を効果的に取り入れ、持続可能性と美観を両立させることに成功したのである。

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