


ナダ・アルトゥルキ
リヤド:第92回目の建国記念日を迎えるサウジアラビア王国では、かつて無いほどにクリエイティブシーンが盛り上がりを見せている。
そう遠くない過去には、警察の取り調べで映画の撮影現場が中断され、制作中止を要求されることもあった。それが今日では、総合娯楽庁(GEA)、Ithra、紅海映画祭、その他官民問わず数え切れないほど多くの機関によって、地域の映画制作者らは絶え間ないサポートを受けている。
人材や情熱は常にあった。しかし現在、アーティストらは、カルチャーシーンをさらに高い次元に引き上げるための支援と機会を受けている、
現代アーティストであるサード・ハウデ博士は、「サウジアラビアは現在、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指導のもと、あらゆる文化的・社会的側面において黄金期を迎えています。私たちが目の当たりにしている開放性は、芸術すべてにおいて前向きな影響を与えています。これは私たちの映像アーティストとしての能力発展に寄与し、挑戦や期待値の上限を引き上げてくれます」と、アラブニュースに語った。
ハウデ氏は、アーティスト仲間のフムード・アル・アッタウィー氏とともにクリエイティブな芸術空間ワズム・スタジオを共同で設立した人物である。
彼はアラビアの人々やその遺産、文化の交わりからインスピレーションを得ており、アラビアの豊かな歴史は彼の作品に大きな影響を与えている。クリエイティブな環境の形成における文化遺産の重要性は、多くのサウジアラビア人アーティストが強調している。
「記憶は国家の宝です」とハウデ氏は言う。「ルーツを持たない国や文化は、弱く、休眠中であり、未来はありません」
ガーレム・スタジオおよびエッジ・オブ・アラビアの創設者であるサウジアラビアのアーティスト、アブドゥルナーセル・ガーレム氏は、アラブニュースに対してこう語った。「私たちは現在の状況を夢見てきましたが、インフラがありませんでした。現在では、ディルイーヤ・ビンナーレやアル・ウラーのDesertXなど、多くの芸術イベントや芸術関連の事業体があります。今年末にはイスラム・ビエンナーレが予定されています。現在生じているのはまさに文化ブームであり、これは日常生活の一部となりました」
サウジアラビアのクリエイターにとって最大の変化は、新たな法律の制定により、コンサート、展覧会やパフォーマンスなどの開催がはるかに容易になったことだ。以前は、サウジアラビアの住民がアル・ウラーのような空間に入ることは禁止されていた。現在、アル・ウラーは様々な音楽フェスティバル、文化イベント、観光名所の拠点となっている。
「私たちは壮大な物語の中に生きています。今は、社会的にも文化的にも、啓蒙の時です。アーティストに求めることは、彼らの文化的資源やルーツに立ち返ることなのです」とガーレム氏は語る。「私たちは、長い間、文化的資源から遠ざかっていたのです」
書道家のルルワ・アル・ホムード氏は、「 サウジアラビアの芸術活動は、発展と成長の点でユニークだと思います。芸術は有機的に成長し、芸術家たちはグループを形成して相互に支え合っています」とアラブニュースに語った。「これを支える支援やインフラはほとんどありませんでした。そして今、国は芸術を支援する本格的な機関を設立しようと懸命に取り組んでいます」
クリエイティビティ支援の取り組みは、サウジアラビア人を自国に引き寄せてさえいる。移民してスタンドアップコメディーの仕事を行っていたコメディアンのミシャル・「メッシュ」・サムマン氏は、新たに確立されたシーンを体験するべく、かつて大衆娯楽が排斥された祖国に、最近戻ってきた。
サムマン氏は、「あらゆる機会がここにあるのを毎日のように目にします。だからサウジアラビアに戻ってきたんです。希望が見えたのです。以前ここにいたときには全く無かった希望です。」とアラブニュースに語った。「このような全てのことについて、サウジアラビアは素晴らしい窓口という位置づけを自ら行っています」
サウジアラビアの制作会社 Telfaz11 の CEOアラ・ファダン氏は、政府の支援によって地域の才能ある人々が映画制作業界でも成長できるようになったと述べる。
ファダン氏は、「私たちは実際に身の回りでエコシステムが進化していくのを目の当たりにしています。これにより、この業界のプレーヤーは、成功を確信しながら前に進むことが容易になりました」とアラブニュースに語った。
Telfaz11はYouTubeチャンネルで有名になり、現在ではNetflixなどのプラットフォームで番組を公開している。ファダン氏は、今のサウジアラビアに存在する創造性、情熱、および支援があれば、Telfaz 11は、世界中での制作物に匹敵するコンテンツを作れると考えている。
「我々の文化は豊かで、我々の物語はとてつもなく面白いものです。そして世界はまだそれをきちんと見聞するチャンスを与えられていません」とファダン氏は述べる。
サウジアラビアで数十年ぶりに映画館が再開されたのは、2018年4月18日であった。その日は偶然にも、映画監督のアフナン・バワヤン氏が初めて映画のセットに足を踏み入れたのと同じ日だった。
彼女は、「私たちが最初に撮影した日を覚えています。警察が来て閉め出されました。」とアラブニュースに語り、許可証に問題があったが後に解決できたと付け加えた。彼女によれば、同年末には、警察は公道を封鎖して映画撮影ができるようにしてくれたという。
バワヤン氏は、「(今は)全く違う感覚です。自分のやっていることが怖いと思っていましたが、今は本当に支えられていると感じます。」と語った。