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オックスファム:コロナウイルスによって5億人が貧困に陥る可能性

イギリス、ロンドンのオックスファムの店舗、2018年2月11日。
イギリス、ロンドンのオックスファムの店舗、2018年2月11日。
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11 Apr 2020 05:04:25 GMT9
11 Apr 2020 05:04:25 GMT9
  • 「急速に進行している経済危機は、2008年の世界経済危機よりもさらに深刻だ」とオックスファムが述べた。

チャーリー・ピーターズ

ロンドン:対策を打たなければ、コロナウイルスのパンデミックによる経済的被害が中東および北アフリカ(MENA)に壊滅的な影響を及ぼす可能性があると、大手慈善団体が新たな報告書で述べている。

19の独立した慈善団体の連合であり、世界最大の非営利団体の1つであるオックスファムは、COVID-19によって引き起こされた被害により、世界で5億人が貧困に陥る可能性があると述べた。

MESA地域を担当するオックスファムの社員はアラブニュースにこう語った。「この地域ではさらに4400万人が貧困に追いやられる可能性があります」

この慈善団体は、現在サウジアラビアが議長国を務めるG20の国際通貨基金と財務相の会合に先立ち、大惨事を防ぐための経済救済策を講じるように世界の指導者たちに求めた。

「貧困ではなく尊厳を」と題されたオックスファムの報告書によれば、ウイルスの拡散を抑えるための政府による経済の閉鎖のため、世界人口の6〜8%が貧困に追いやられる可能性があるとのことだ。

キングスカレッジロンドンとオーストラリア国立大学が実施したオックスファムの調査によれば、COVID-19が引き起こす景気後退によって所得が20%減少すると、5億4800万人が1日あたり5.50ドル未満で暮らすことになるが、これは世界銀行による貧困の定義の1つに当てはまる。

「急速に進行している経済危機は、2008年の世界経済危機よりもさらに深刻です」とオックスファムは語った。「どのようなシナリオを辿るにせよ、世界の貧困が1990年以来初めて増加する可能性があるとの試算が出ています」

一部の国では貧困率が過去30年間見られなかった水準に戻ってしまう可能性があることも報告では付け加えられている。

オックスファムのシニアポリシーアドバイザーであるナビル・アブド氏は、アラブニュースに対し、「アウトブレイクよりずっと前に存在していた有力な社会経済および政治構造」により、MENA地域は景気後退という特有の課題に直面していると語った。

アブド氏はこう付け加える。「MENA地域は世界でもっとも不平等な地域です。所得の64%が上位10%に所有され、下位50%が所有するのは所得のわずか10%にすぎません」

アブド氏はまた、この地域の難民数が世界最大であると述べた。「住民数は世界人口のわずか5%ですが、世界の難民および避難民のおよそ34%がこの地域にいます。500万人以上のシリア難民がおり、また地域の国内の1300万人が避難しています」とアブド氏は付け加えた。

パキスタンのイムラン・カーン首相が「都市を封鎖すれば……コロナから(人々を)救う一方で、人々は飢餓で死んでしまうだろう」と述べた後、オックスファムは報告書を発表した。

この慈善団体のレポートでは、COVID-19に関連した経済的シャットダウンに起因する被害を緩和するために、富裕国からの支援の増加や途上国の債務の1年間の停止など、さまざまな政策を求めている。

フランス、イギリス、アメリカなどの富裕国の多くは、多くの予算を注ぎ込んだ景気刺激策を打ち出し、企業の倒産を防ぎながら人々の生活を守ろうとしている。

しかしオックスファムは、途上国の弱い金融システムがシャットダウンが引き起こす需要を満たすのに苦戦することを懸念している。

COVID-19のアウトブレイク以前に深刻な政治危機と国家革命に耐えていたレバノンでは、3月以降国の債務が急増していることにより、ユーロ債の支払いを処理するための計画を立てるのに閣僚が苦戦している。

レバノンにはロックダウンを行う余裕がない。その他の地域でもこのような悲惨な状況が再現されており、パレスチナは経済の崩壊を防ぐよう大きな圧力を受けている。

「3つの戦争を含む『通常』の場合であっても、(地域の)公立病院には必要なだけの物資や設備がありません。これらの課題を考慮に入れる以前ですら、人々の要求に応えることができませんでした」とアブド氏は語った。

「同時に、非公式経済が拡大しており、雇用全体の63%が非公式です。つまり、この新たなパンデミックのあいだ、検査や治療という必要なヘルスケアを利用できない人が大勢いるということです」

世界銀行はMENA地域全体に介入し、ジブチの準備計画の実施に対して国際開発協会(IDA)から500万ドルの融資を行って支援した。

また、イエメンで国際的に認知されている政府に対し、世界保健機関との提携により実施されるIDAの助成金を2690万ドル授与した。

しかし、オックスファムはこれは十分でないと述べており、これまで富裕国からの援助の支出の大幅な増加を求めてきている。

「3月末にアメリカ政府が発表した2.2兆ドルの景気刺激策のうち、貧困国の危機への対応に使われるのはわずか0.05%の11億ドルにすぎない」と報告書は述べている。

これは「衝撃的で近視眼的」だと付け加えられている。「富裕国が永遠に自分たちを隔離する準備ができていないのであれば、この危機は国際的な連帯なしには終わらないだろう」

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