
シンガポール:ドナルド・トランプ米大統領が中国との貿易戦争を激化させ、他国への関税を90日間一時停止すると発表したことから、原油価格は木曜日に後退した。
サウジアラビア時間の午前9時30分までに、ブレント先物は39セント(0.6%)安の1バレル65.09ドル、米国のウエスト・テキサス・インターミディエイト原油先物は29セント(0.5%)安の62.06ドルとなった。
ほとんどの国に対する関税の一時停止を受け、ベンチマークとなる原油取引は水曜日には4%高に落ち着いていた。
しかし、トランプ大統領は中国に対する関税率を、水曜日の早朝に発表した104%から125%に引き上げた。
INGの商品ストラテジストは木曜日のリサーチノートで、米国の対中関税引き上げは市場に多くの不確実性を残すと述べた。
「この不確実性は依然として世界成長の足を引っ張る可能性が高く、これは明らかに石油需要にとっての懸念である」
ICEブレントのフォワードカーブは、石油市場の供給改善を示唆している。
中国はまた、米国製品に対する追加輸入関税を発表し、木曜日から84%の関税を課す。
オンライン・トレーディング・プラットフォームIGのマーケット・ストラテジスト、イープ・ジュン・ロン氏は、「最近の関税撤廃に対する楽観的な見方が薄れれば、原油価格は再び下落基調に転じるだろう」と述べた。
「需要面では逆風が続いており、中国の成長見通しが、現在進行中の関税撤廃によってリスクにさらされている」
投資家は様々な供給要因にも注目していた。
ANZリサーチのアナリストは木曜日、「キーストーン・パイプラインが予定されていた石油出荷に不可抗力を宣言したことで、価格もいくらか下支えされた」と述べた。
カナダから米国へのキーストーン・パイプラインは、ノースダコタ州フォートランサム付近での原油流出事故を受け、水曜も停止したままである。
また、カスピ海パイプライン・コンソーシアムは、ロシアの規制当局が西側諸国を支援するグループの施設に課していた制限を裁判所が解除したことを受け、これまで停止していた2つの黒海係留施設のうちの1つで原油の積み込みを再開した。
米国では、4月4日までの1週間に原油在庫が260万バレル増加したと、エネルギー情報局が発表した。
ロイター