
ロンドン:ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によれば、物流業界が環境により一層配慮することを求める投資家からの圧力が強まる中、銀行などが同業界の企業に融資する際の環境基準をより厳格化している、という。
物流業界は世界貿易量の9割を扱うが、地球上の二酸化炭素総排出量のおよそ3%が同産業で排出されており、2050年までに温室効果ガス実質ゼロ(いわゆるネットゼロ)を達成するためには2.4兆ドルを必要とする、とBCGでは予想している。
「ESGへの配慮を求める声はすでに銀行を動かしている。物流業界ではすでにその空気を感じとっており、各物流企業は圧力を受けている状況にある」と語るのはBCG役員のピーター・ジェームソン氏だ。BCGは10月31日に開幕するCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)のコンサルタントを務めている。
スタンダード・チャータード銀行ではすでに、採掘グループのオドフジェルとオマーンのアシャド・グループの物流部門に対するローンにおいてサステナビリティ(持続可能性)を条件に加えた、と同銀行は発表している。
「銀行は新規資産への融資を検討する際に、そのポリシーにおいて二酸化炭素削減により比重を置く方向へと向かっている」とジェームソン氏はロイターに語った。
「また各銀行は保険会社が株主から圧力を受けるのを目の当たりにしており、このことが大規模な年金基金の再考も促している」という。
ESG関連の運用資産は2030年までに物流業界に対する融資の約8割を占めることになる、とBCGでは予想している。
国連で物流を担当する国際海事機関(IMO)は、船舶による温室効果ガス(GHG)の総排出量を2008年のレベルから2050年までに5割削減することを目指す、としているが、業界団体は各国政府に対してより進歩的な政策の導入を求めている。
ロイター