
東京五輪・パラリンピックのテスト大会を巡り、広告最大手「電通」(東京都港区)など複数社が大会組織委員会発注の計画立案業務の入札で談合した疑いが強まったとして、東京地検特捜部と公正取引委員会は25日、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で、電通本社など関係先を合同で家宅捜索した。
電通が捜索を受けるのは、大会スポンサー契約を巡り、組織委元理事の高橋治之被告(78)=受託収賄罪で起訴=が逮捕、起訴された汚職事件に続き2回目。組織委のマーケティング専任代理店に指名されるなど、大会運営の中軸を担った電通が主導した疑いがあり、特捜部と公取委は押収資料を分析するなど全容解明を進める方針。
他に捜索を受けたのは、イベント大手「セレスポ」(豊島区)。
関係者によると、談合の疑いが指摘されているのは、競技会場ごとに行うテスト大会の「計画立案・計画支援業務」。2018年5~8月に総合評価方式で26件の競争入札が行われ、電通やADKマーケティング・ソリューションズ(旧アサツーディ・ケイ)、セレスポなど9社と共同企業体(JV)1団体が約400万~5900万円の計約5億3700万円で落札し、少なくとも電通やADKなど複数社で受注調整していた疑いが持たれている。
落札した各社は、テスト大会や大会本番の運営業務委託を随意契約で引き続き受注した。大会経費はテスト大会委託が計約43億円、本番の会場運営委託が計約161億円に上ったほか、国や東京都との共同実施事業として各競技会場の新型コロナウイルス対策業務も計約85億円で委託を受け、各社の受注総額は300億円近くに上ったとみられる。
談合疑惑は汚職事件の捜査の過程で浮上した。贈賄側となったADKが課徴金減免制度に基づき、公取委に談合を申告している。特捜部と公取委は計画立案業務を足掛かりに大型事業の受注を狙ったとみて捜査。発注元の組織委大会運営局にセレスポなどから幹部社員が出向しており、発注方法についても問題がなかったかどうか調べる。
時事通信