
東京:日本の小売グループのセブン&アイ・ホールディングスは31日、百貨店子会社のそごう・西武を米投資ファンドに売却すると発表した。そごう・西武の労働組合はストライキ中だった。
セブン&アイによれば、取締役会での決議により、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(FIG)への売却は9月1日に実施される。売却予定価格は2200億円(約15億ドル)だが、金額は1日に売却が完了して確定する。
これとは別に、セブン&アイはそごう・西武への貸付金のうち約920億円(約6億3000万ドル)を放棄すると声明で明らかにした。
この日、臨時休業となった西武池袋本店の近くでは、ストに参加した従業員約900人がプラカードを掲げてデモを行い、道行く人にチラシを配った。
日本では大騒ぎになるようなストライキやデモはめったにない。日本のテレビ局のニュースが報じたところでは、ストに参加した従業員たちは世間にご迷惑をおかけして申し訳ないと謝罪していた。日本では鉄道でのストライキも、えてして象徴的なものに留まる。公共交通機関がなければ都市で働く多くの人々は通勤できなくなってしまうことから、列車の運行そのものは行われることが多いからだ。
そごう・西武の売却は昨年11月に発表されたが、反対の声が出て延期されていた。
「本日8月31日(木)、そごう・西武労働組合によるストライキが西武池袋本店にて実施されることになりました。
お客様、地域の皆様、お取引先様、従業員をはじめとするステークホルダーの皆様にご心配、ご迷惑をおかけすることとなり、大変申し訳ございません。
そごう・西武は、今後とも、そごう・西武労働組合との間で、雇用維持及び事業継続に関する団体交渉及び協議を継続するとともに、当社は、そごう・西武とそごう・西武労働組合との間の協議について適切な範囲で支援・協力してまいります」と、セブン&アイは声明の中で述べた。
日本のメディアの報道によれば、フォートレスと手を組む家電量販大手ヨドバシカメラが百貨店の店舗に出店する見込みだという。
そごう・西武は日本全国に10店舗を展開。米国など一部の国々に比べれば日本の百貨店に冬の時代が訪れたのはずっと遅かったが、それでもオンラインショッピングの出現を受けてその影響力は弱まっていた。
セブン&アイは傘下にコンビニエンスストアのセブン-イレブンやスーパーマーケットのイトーヨーカドー(今も比較的人気を保っている)や、文房具や雑貨を扱うロフトなどを擁している。
セブン&アイによれば、売却により事業を再構築し、コンビニエンスストア事業や食品の小売事業を強化するという。
フォートレスはニューヨークに本社を置き、創業は1998年。運用資産の総額は約447億ドルに上る。
AP