Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • NATO同盟国のトルコがロシアのミサイル防衛システムを購入したことを受け、アメリカが同国を制裁

NATO同盟国のトルコがロシアのミサイル防衛システムを購入したことを受け、アメリカが同国を制裁

2020年12月14日、トルコのアンカラで行われた閣僚会議後の記者会見で語るタイイップ・エルドアントルコ大統領。(大統領報道室、ロイター報道)
2020年12月14日、トルコのアンカラで行われた閣僚会議後の記者会見で語るタイイップ・エルドアントルコ大統領。(大統領報道室、ロイター報道)
Short Url:
15 Dec 2020 05:12:04 GMT9
15 Dec 2020 05:12:04 GMT9
  • この措置は、アメリカとトルコとの関係がぎくしゃくする中で発動された。
  • アメリカは、このミサイル防衛システムの購入をめぐり、これ以前にもトルコをF-35ステルス戦闘機の開発および訓練プログラムから除外している。

ワシントン: トランプ政権は、NATO同盟国のトルコがロシアの防空システムを購入したことを受け、月曜日に同国に対し制裁措置を発動した。次期大統領のジョー・バイデン氏が就任に向けて準備を進める中、両国にさらなる対立をもたらす要因となりそうだ。

この措置は、アメリカとトルコとの関係がぎくしゃくする中で発動された。両国の関係は、トルコによるロシアのS-400ミサイル防衛システムの購入、およびトルコのシリア侵攻、アルメニアとアゼルバイジャンとの対立、さらに地中海東岸での紛争をめぐって、1年以上にわたってこじれたものとなっている。

アメリカは、このミサイル防衛システムの購入をめぐり、これ以前にもトルコをF-35ステルス戦闘機の開発および訓練プログラムから除外しているが、S-400の購入について長い間抗議してきたアメリカ政府関係者らの幾度にもわたる警告にもかかわらず、さらなる措置を講じることはしなかった。同関係者らは、S-400がNATOの軍装備品に適合しておらず、同盟国の安全を脅かす可能性があると述べている。

マイク・ポンペオ国務長官は「アメリカは、トルコに対し、同国によるS-400システムの購入が我が国の軍事技術および軍人の安全を脅かすだけでなく、ロシアの防衛分野に莫大な資金を提供し、トルコ国軍と防衛産業への介入を許すことになると、最高官レベルで何度も明確に伝えてきました」と語った。

ポンペオ国務長官は声明の中で「しかしながら、トルコは同国の防衛に必要な要件を満たすNATOの相互運用可能な代替システムがあるにもかかわらず、S-400の調達とテストに踏み切りました」と述べた。

また、同長官は「私はトルコがS-400の問題をアメリカと協力して直ちに解決することを強く要請します。トルコは大切な同盟国であり、我が国にとって地域の重要なセキュリティーパートナーです。我が国は、トルコがS-400を所有しているという由々しき問題を一刻も早く解決し、同国との数十年にわたる防衛分野での建設的協力関係を継続することを望みます」と語った。

今回の制裁措置は、トルコの軍事調達機関である国防産業局、およびその局長のイスマイル・デミル氏と他3名の高官を対象にしている。措置内容は、この4名の高官がアメリカ国内に所有している可能性がある全資産の凍結とアメリカへの入国禁止である。さらに、同国防産業局への輸出許可、貸付、資金協力の停止も含まれる。

トランプ政権は、先述の戦闘機プログラムからトルコを除外する以外、制裁措置を発動することを何か月間にもわたって控えてきた。その理由の一つは、S-400ミサイル防衛システムの配備について再検討する時間をトルコ政府関係者に与えるためだ。また、一部の人間は、トランプ大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領との私的な関係もその理由の一つではないかと見ている。

しかしながら、過去数か月の間、トルコはこの防衛システムのテストを進め、アメリカ連邦議会とその他の者からの批判を招くこととなった。彼らは、アメリカの国益を損なうとみなされる取引に対して罰を科す「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づき、今回の制裁措置を発動することを要求してきた。

バイデン次期大統領の政権移行チームは、トルコによるS-400の使用とそれが引き起こしかねないNATO加盟国間の足並みの乱れに反対する意向を表明しているが、バイデン氏の大統領就任のたった1か月半前に発動されたこの制裁措置は、次期政権にとってジレンマになりうる。

トルコ国防省のフルースィ・アカル大臣は、S-400システムとF-35戦闘機の相互運用可能性に関する同国の懸念事項について、トルコはアメリカとの話し合いを行う準備が整っていたと先月語った。この提案に対するアメリカの反応は冷たく、ポンペオ国務長官はその後まもなくイスタンブールを訪問した際、トルコ政府関係者との会談をあからさまに一切行わなかった。

トルコはこのミサイル防衛システムのテストを10月に初めて実施し、アメリカ国防総省から非難された。

トルコ政府は、アメリカが同国製のパトリオットミサイルをトルコに販売することを拒否したため、ロシアのシステムを購入せざるを得なかったと述べている。また、トルコ政府は、NATO加盟国のギリシャがロシア製のミサイルを使用していることに触れ、アメリカの対応はダブルスタンダードだと指摘している。

AP

 

topics
特に人気
オススメ

return to top