
トンガ諸島付近の海底火山「フンガトンガ・フンガハアパイ火山」の大噴火で発生した音波の一種が地球を周回したことが分かったと、東京大地震研究所の西田究准教授が17日発表した。世界各地にある微気圧計の観測データを調べた成果で、1980年代に精度の高い観測が始まって以来、初めてという。
この音波は大噴火で発生した音波のうち、周期が約1000秒と長く、非常に低い音で、人の耳には聞こえない。減衰せずに遠くまで届くが、西田准教授は「地球周回が観測されたのはそれだけ噴火が大きかったからだ」と説明した。
西田准教授によると、80年代以降では、フィリピンのピナトゥボ火山で91年に大噴火が起きたが、この長周期音波が地球を周回したとの報告はなかった。インドネシアのスマトラ島とジャワ島の間にあるクラカタウ火山で1883年に大噴火が起きた際には、当時の観測記録から地球を周回したとみられている。
一方、地震波の観測では、2004年にスマトラ島沖で巨大地震が起きた際、地震波のうち地球の表層を伝わる表面波が地球を周回した例が知られる。
フンガトンガ・フンガハアパイ火山で日本時間15日午後に起きた大噴火では、日本や北米、南米など、太平洋沿岸で広く津波が観測された。日本では鹿児島県・奄美大島で最大1.2メートルの潮位上昇が観測されたが、気象庁は通常の地震による津波ではなく、噴火による気圧の変動が主因で起きたと発表している。
時事通信