
ナダル・サモーリ
大阪:ネオンの街、東京はまだ飽き足らない。より魅力的に、より大きく、より明るくできるのなら、やってみようじゃないかと、夢想家やクリエイターなら誰でも思うだろう。この頃、リアルなアニメーション動画がSNS上で拡散され、多くの人々の関心を呼び起こしている。東京では、巨大な街角の看板に、ハイパーリアルな猫の3Dアニメーションが再生される。同様に3Dアニメーションが映し出される看板は、東京のみならず、成都、重慶、ニューヨーク, クアラルンプール、ドバイなど世界中の都市に広がっている。アイウェアを装着しなくとも、その効果を目の当たりにすることができるため、通行人は魅了され、仰天する。
東京の3D猫が、長引くパンデミックの最中、人々に喜びを与えていることは間違いないだろう。東京で最もにぎやかな有名スポットの一つである新宿駅近くの東京のビルの角に、数百人の人々が、4K解像度の看板の中にいる猫の鳴き声を録音しようと集まる。猫は人々を見渡し、あくびをし、昼寝をし、「こんにちわ」をもじって「にゃんにちわ」と言う。
この最先端の3Dアニメーションは、主役が画面から飛び出してくるかのような錯覚を与えるが、画面の角は見かけであり、アニメーションの一部である。画面のスケールの大きさも相まって、3D猫はその錯覚から街の目玉となっている。
3Dアニメーターでモーションデザイナーのリョウタ・スヤマ(Ryota Suyama)氏は、アラブニュース・ジャパンの取材に対し、「新宿の3D猫のように、アニメーション広告は、これからの広告戦略の一つとして進化が続いています。私自身も制作に携わっています。3Dアニメーションは、これからますます広告での利用が増えるでしょう。それは浸透し、より盛んになり、ネット上にはフリーソフトやチュートリアルがたくさんあるので、3Dアニメーションの普及はますます進むと思います。ゲームエンジンによりリアルタイムアニメーションの難易度が下がれば、広告もその流れに乗るはずです」と語る。
3D広告塔の台頭で、人々はマーケティングの進化を目の当たりにしているのだろうか。そもそも、3Dデジタル広告塔の仕組みはどのようなものなのか。
3Dテクノロジーとは、デジタル技術を駆使して視覚的な錯覚を起こし、実在しないものをあたかも実物であるかのように見せる技術だ。スクリーンに、2つの異なる角度から撮影された画像を表示し、統合することで、リアルな奥行きの錯覚を与える映像を完成させる。そうすることで、広告は退屈な画像ではなく、目を惹く楽しい視覚体験となる。同時に、ブランド側も、見る者に際立った印象を残すことができる。
「どのような手法がマーケティングに活用されるかは、流行によって変化していくでしょう。プロジェクションマッピングがその例です。一過性のブームで終わる可能性もあります。プロジェクションマッピングやLEDディスプレイマッピングなどは、3Dアニメーションを大きな広告に応用する際の手法の一部にすぎません。今はUnreal EngineやUnityなどのソフトがありますから、ゲームだけでなく、近い将来、VRやAR向けにも素晴らしい3Dアニメーションができるようになるでしょう。3Dアニメーションの未来はどちらかといえばVRやARの中にあると思います」とスヤマ氏は話した。
人々は身の回りに、進歩の気風を求めているようだ。それによって自分たちも前進できるように。進化するテクノロジーの出現は、スクリーン上だけでなく、それを取り巻く人々の間にも動きを生み出している。