
上川陽子外相は2日、時事通信などのインタビューに応じ、岸田文雄首相が意欲を示す日朝首脳会談の実現に向け、外交努力を続ける考えを示した。ロシアの侵攻を受けるウクライナ支援に官民一体で取り組む姿勢も強調した。主なやりとりは次の通り。
―北朝鮮の拉致問題について、早期解決を求める声は強まっている。
全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現に全力で取り組む。首相自らが条件を付けず、いつでも北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と直接向き合う決意を述べている。日朝間の懸案を解決し、共に新しい時代を切り開いていく観点から、首相の決意を伝え続ける。同時に、首脳会談を早期に実現すべく、外相として外交的取り組みをリードしていく。
―年明けの「日ウクライナ経済復興推進会議」でどのような支援策を打ち出すか。
官民一体の復旧、復興をさらに力強く推進する契機とすべく、取り組みを加速する。
―12月に東京で東南アジア諸国連合(ASEAN)との特別首脳会議が開かれる。
今年は日ASEANの友好協力50周年という節目の年だ。厳しさを増す安全保障環境、経済的な相互依存関係の深まりなど、共通する課題を見据えた協力のビジョンを出していく。
―11月の先進7カ国(G7)外相会合ではどのような議論を行うのか。
4月の長野県軽井沢町での外相会合では、ウクライナ、中国、さらにインド太平洋地域といった喫緊の課題を議論し、今後の方向性を擦り合わせることができた。ウクライナやインド太平洋の議論をさらに深めていきたい。
―日米韓の連携が深まれば、一方で中朝露の連携も深まり、分断が広がるとの指摘がある。
東・南シナ海での力による一方的な現状変更の試み、北朝鮮による核・ミサイルの脅威はますます増大している。日米韓の安保協力の強化はかつてなく重要だ。
時事通信