
政府は2日、コロナ禍の教訓を踏まえ、新たな感染症流行に備えた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」を閣議決定した。平時からワクチンなどの研究開発を進め、医療の逼迫(ひっぱく)時には、科学的知見が不十分な段階でも緊急事態宣言などの措置に踏み切るとした。国民生活などへの影響も考慮し、「柔軟かつ機動的に」運用する。2013年の計画策定後、初めての抜本的改定となった。
計画では新たに「ワクチン」や「検査」など7項目を追加し、計13項目とした。平時からワクチンの研究開発を推進し、検査体制の整備や人材確保を行う。医療提供体制の整備やマスクといった必要物資の備蓄なども強化することを盛り込んだ。
また、国が必要に応じて地方自治体などに総合調整・指示を行うと明記。計画は毎年度点検し、約6年ごとに改定する。
行動計画改定に当たり、昨年9月から有識者会議で議論を重ね、今年4月に改定案を公表。パブリックコメント(意見公募)では異例の約19万件が寄せられた。ワクチン接種に対する懸念の声が多かったため、予防接種についての啓発を追加した。偽・誤情報への対策では、表現の自由に十分に配慮することも記した。
新藤義孝感染症危機管理担当相は閣議後記者会見で、「平時から実効性のある訓練の実施、国・地方の連携、ガイドラインの作成などの取り組みを進めてきたい」と述べた。
時事通信